井上道義&読売日本交響楽団 マーラー/交響曲第3番ニ短調 を、東京芸術劇場コンサートホールにて。

アルト:池田香織

コーラス:首都圏音楽大学合同コーラス

(合唱指導:池田香織)

児童コーラス:TOKYO FM 少年合唱団

 

演奏会の直前に、東京芸術劇場のウェブサイトには、指揮者の井上道義さんによる下記のコメントが掲載されていた(演奏会終了後はなぜか削除されているようだ)。

「6日のマーラー3番演奏会における、今までのマーラーとの違い

・1楽章が騒々しくない

・2、3楽章はゆったりとして田舎風な鄙びた時間が流れ……

・アルトソロは、若い男の叫びとして感じられる。

・子供と天使のコーラスも幻想的な非現実的な妄想の世界を見え隠れするように演奏される。

・終楽章は、清潔感あるスピードで進む。

我々、現代に生きる人間は、後に創作する5番のアダージェットや9番の終楽章を今日知っているが、次世代の我々が先回りして知ったのとは異なる、手探りの実験音楽として“現代音楽”が演奏される。

井上道義」

 

このコメントを見てなんとなくやばそうな雰囲気は事前に察知していたわけであるが、案の定今回の演奏、道義さんの変なテンションに満ちている気がして、私にとっては違和感満載な演奏となった。会場は非常に沸いていたのだけれど…

冒頭の決然としたホルンはよかったのだが、その後の演奏は力みが感じられたし、その力みからだろうか金管がぽろぽろと外す。舞台裏(オルガンの横だろうか?)第3楽章のポストホルンはまずまずだったが、最後粗くなってしまって、それがステージ上のホルンとトランペットに波及した…

今回素晴らしかったのは深みと味わいある池田香織のアルトと、彼女が指導した大学生たちの合唱団、そして安定のTOKYO FM少年合唱団。合唱は非常に清らかな美しさが感じられる。彼らが登場する第4楽章と第5楽章が一番よかった。

 

それにしても、指揮棒を使わない道義さんの指揮、第2、3楽章あたりではもうタコ踊りにしか見えない。目をつぶって聴くべきであった。

 

参考までに、下は今年の夏に行ったアッター湖畔シュタインバッハにあるマーラーの作曲小屋。マーラーはここで3番を作曲した。

 

 

 

総合評価:★★★☆☆