アルディッティ弦楽四重奏団来日公演を、武蔵野市民文化会館小ホールにて。

 

バルトーク:弦楽四重奏曲第3番

ベルク:弦楽四重奏曲 作品3

細川俊夫:パッサージュ(通り路)弦楽四重奏のための(2019)(新作)

リゲティ:弦楽四重奏曲第2番

(アンコール)

クルターク:小オフィチウム(聖務日課) - エンドレ・セルヴァンスキを追悼して Op. 28〜最終楽章アリオーソ

 

アルディッティ弦楽四重奏団

アーヴィン・アルディッティ(ヴァイオリン)

アショット・サルキシャン(ヴァイオリン)

ラルフ・エーラース(ヴィオラ)

ルーカス・フェルス(チェロ)

 

武蔵野市民文化会館小ホール、ギィのベートーヴェンピアノソナタ全曲演奏会全9回のうち8回と、今回のアルディッティで、この3週間で9回来ることになる。我ながら物好きだと思うが、ここのホールの企画は本当に素晴らしいのだ。

 

現代音楽のスペシャリストであるアルディッティ弦楽四重奏団、結成は1974年。ロンドン交響楽団のヴァイオリニストだったアーヴィン・アルディッティにより結成された。徹底して近現代音楽しか演奏しない姿勢、本当に頭が下がる。すごい。

 

前半は現代音楽のなかでは古典に属する音楽であるが、アルディッティが演奏するとバルトークもベルクも最先端の現代音楽に聞こえてくるから不思議だ。正直、演奏のキレはだいぶなくなってきていて、特にバルトークは多少緩さが感じられる。10月に聴いたハーゲン弦楽四重奏団の同曲演奏はキレキレであったのだ。

 

後半の最初は細川氏の新作。私が座った席のちょっと前に作曲者がいた。2年前のアルディッティ来日時に演奏された「沈黙の花」の、あの凜としたたたずまいに比べると、今回の新作(高崎芸術劇場とケルン・フィルハーモニーの共同委嘱作品)はやや冗長に感じられてしまった…約20分の作品であるが、正直ちょっと長いのでは?

耳が悪かったベートーヴェンと話す対話者の会話帳への返事を、ベートーヴェンの代わりに作品にして欲しいという依頼だったそうだ。弦の上昇音階が、天国にいるベートーヴェンに話を聞きに行っているように感じられた。

 

最後のリゲティ作品、これが一番素晴らしい演奏だった。リゲティらしい才気にあふれる傑作である。静謐な瞬間も美しい作品なのだが、動的な部分がまた劇的で素晴らしいのである。

 

アンコールは今年93歳になるクルターグ・ジェルジュ(日本と同じく、名前は苗字が先だ)の弦楽四重奏作品。非常に短い佳品である。

 

 

総合評価:★★★★☆