新宿文化センター開館40周年記念事業 フレッシュ名曲コンサート

マーラー 交響曲第8番「千人の交響曲」

 

指揮:アンドレア・バッティストーニ

ソプラノ:木下美穂子 今井実希 安井陽子

アルト:中島郁子 小林由佳

テノール:福井敬

バリトン:青山貴

バス:ジョン・ハオ

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

オルガン:三原麻里

合唱:新宿文化センター合唱団 花園小学校合唱団 西新宿小学校合唱団 関北みどりの風合唱団 マーガレット少年少女合唱団

 

大野和士/都響(2018年10月28日)、ユロフスキ/ベルリン放送響(2019年3月25日)とともに新宿文化センター開館40周年記念事業として行われた今回の演奏会。

新宿文化センター、1999年開館20周年のときはインバル指揮都響で、2004年開館25周年のときはベルティーニ指揮都響で、やはりこのマーラーの8番が演奏されている。なんと、それらの演奏会でもテノールは今回と同じ福井敬!

 

さて、先の東急ジルヴェスターコンサートにおけるアイーダの凱旋行進曲で、15秒近い無理矢理なフェルマータでなんとかカウントダウンを「成功」させた熱血漢バッティストーニの一千人、予想がほぼ的中。

とても熱い演奏であるが、やや荒削りである。歌謡性を重視した音楽作りで、デュナーミクの幅はそれほど大きくないので、一本調子に聞こえる。といっても、第2部の歌が入る前のところでアンサンブルが乱れたことを除けば、ほぼ破綻はない。金管は第2部後半になって疲れも出ていたようであるが。

なお、金管のバンダは2階左手の通路に配置され、栄光の聖母は会場左手のバルコニーに配置されていた。

弦は16型、コンサートマスターは近藤 薫。

 

合唱は総勢300名強という人数の新宿文化センター合唱団。アマチュアゆえ仕方ないことであるが、正直、粗いし音程も微妙。神秘の合唱の入りの部分もデリカシーに欠ける。アマチュアでも、東響コーラスのようにトレーニングされた団体とはやはり同列には評価できないだろう。

児童合唱、ホームページに記載がなかったので、近所の子供をかき集めて歌わせるのかも…などと冗談を言っていたら、本当にそれに近かった。新宿文化センター近所の、花園小学校の児童が一番多い。児童合唱も健闘していたけれど、やはり常設の児童合唱にはかなわない。

 

独唱陣は二期会を中心とした歌手で、福井敬、ジョン・ハオはつい先日の東響のヴェルディ:レクイエムでも歌ったばかり。

福井敬、前述のように開館20周年のときも歌っていたし、わが国におけるマーラー8番では欠かせない存在。私は彼が歌うマリアの崇敬の博士、通算で9回目である。その突き抜けるような声は、以前に比べてきつそうになったとはいえ健在である。

それ以外の歌手では今井実希の懺悔する女が清冽な声でなかなか。栄光の聖母を歌った安井陽子は、以前よりも声が重くなったような気がする。

 

チケット完売で、1802席ながらとても音がクリアに聞こえるホールゆえ、かなりの音圧を体感することができた。