サカリ・オラモ指揮ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団 特別演奏会Ⅲ《祝祭コンサート》を、サントリーホールにて。
指揮:サカリ・オラモ
ソプラノ:カミラ・ティリング
アルト:カティヤ・ドラゴイェヴィッチ
テノール:ミカエル・ヴェイニウス
バリトン:へニング・フォン・シュルマン
新国立劇場合唱団(合唱指揮:三澤洋史)
ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団
ノーベル賞組曲[ノーベル賞の授賞式、晩餐会の音楽集]
ビョルリン:ノーベル・ファンファーレ
モーツァルト:行進曲 K.249
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲第8番
シベリウス:組曲『カレリア』より「行進曲風に」
ラーション:『田園組曲』よりロマンス
アルヴェーン:組曲『放蕩息子』より「シバの女王の祝典行進曲」
ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱付き」
ロイヤル・ストックホルム・フィル3日目。
3日目にして、このオケが”Royal”であることを実感させられるイヴェントになった。来日中のスウェーデンのヴィクトリア皇太子殿下(女性)と、高円宮憲仁親王第三王女子、絢子女王殿下がご臨席。
前半はノーベル賞授賞式で演奏される曲を組曲にしたもの。会場総立ちでヴィクトリア皇太子殿下、絢子女王殿下が入場されたあとにファンファーレ吹奏、その後指揮者が登場してモーツァルトの行進曲から演奏が始まった。
まあこのノーベル賞授賞式で演奏される音楽は、彼らにとっては十八番だと思われ、やっつけとは言わないまでもノリで行ける音楽であろう。カレリア行進曲などはやや緩い感じも。
後半は第九。日本人にとっては季節外れ感ありの時期の演奏だ。
今回、3日間オラモのベートーヴェンに接したわけであるが、彼のベートーヴェンはとても現代的解釈でありながら、とてもオーソドックスで、変わったことはなにもしていない。今回の第九も、やや速めのテンポ(第3楽章はかなり速めだった)によるきびきびした運びの音楽であるが、ラトルやパーヴォ・ヤルヴィのように、細かいところで新たな発見があるような演奏ではない。今回の第九、オラモは指揮棒を使わず、手の表情で細やかなニュアンスを表出していたように思う。
第2楽章提示部はリピートあり。
基本はベーレンライター版に聞こえたが、使用楽譜は定かではない。独唱者の歌詞はベーレンライター版と違っていたので、正直よくわからない。第3楽章のホルン、譜面通り4番がきちんとソロを吹いていた。
合唱は総勢70名程度と人数を絞っていて、かなり緊密なアンサンブルを聴かせてくれた。オケ、弦は16-15-12-11-7という編成(だったと思う)。木管の音程は怪しいところもあったけれど、総じてまずまずか。
あえて言うと、毎年年末に聴く第九のレベルの高さからすると、特段すごい演奏だったかと言われるとそうでもなかったか…
4人の独唱陣が好演。ソプラノのカミラ・ティリングは日本でもおなじみ。
総合評価:★★★☆☆