札幌交響楽団第608回定期演奏会~マティアス・バーメルト首席指揮者就任記念 を、札幌コンサートホールKitaraにて。

 

指揮:マティアス・バーメルト

 

モーツァルト:交響曲 第29番 イ長調

R.シュトラウス:アルプス交響曲

 

マックス・ボンマーの後任として、この4月から札幌交響楽団の首席指揮者に就任したのはスイスの指揮者、マティアス・バーメルト(1942〜)。

名前は聞いたことがあるものの、あまり演奏を聴いた記憶がないので過去のコンサート記録を調べてみたら、2005年と2007年にN響定期でバーメルトの指揮を聴いたことがあった。

前者はヴィヴィアン・ハーグナーのヴァイオリンによるチャイコフスキーのコンチェルトとブラームスの2番、後者はブラームスの悲劇的序曲、アンナ・トモワ=シントウが歌うR・シュトラウスの最後の4つの歌、そしてブラームス=シェーンベルク編曲のピアノ四重奏曲第1番だった。前者は正直全く記憶になく、ブログを始める前の演奏会なので感想も残っていない。後者もブログを始める前ではあるが、当時すでに盛りをとっくに過ぎていた名ソプラノ、トモワ=シントウの強烈な歌唱を舞台の目の前(NHKホールのP席)で聴いて、つばが飛んできたことはよく覚えている。

というわけで演奏の記憶はほとんどないのであるが、このバーメルト、なんとピエール・ブーレーズとカールハインツ・シュトックハウゼンに作曲を学び、指揮を巨匠ジョージ・セルに師事し、その後マゼール時代のクリーヴランド管の正指揮者を務め、その他も数多くの役職を歴任している。1992年〜1998年まではなんとルツェルン音楽祭の監督まで務めているのだ。NMLで名前を検索すると、無名作曲家の録音が多数ヒットする。

 

さて、今回はそのバーメルトの首席指揮者就任記念演奏会であるが、客席のテンションはそれほど高くない気が…

現在75歳のバーメルト、すでに結構なおじいちゃんであるし、肩があまり高く上がらないので指揮姿もとても地味である。その音楽はまさに謹厳実直でとても紳士的、飾るところもなければ、見栄を張るところも全くない。そのスタイルはモーツァルトでもR・シュトラウスでも同じだ。

 

前半のモーツァルト、極めて正攻法であり、こういう渋い味わいのモーツァルトもこれはこれでいいとは思うが、さすがにもう少しはつらつとした明るさが欲しいような…弦は12型通常配置。この曲は暗譜だった。

 

後半のR・シュトラウスは16型。こちらも派手なところがなく、ひとつひとつのフレーズをじっくり聴かせるタイプの演奏で、結果としてテンポもそれほど速くない。しかし、曲の細部がよく聞こえてきてとても面白いし、描写音楽としての迫力も十分に伝わってきた佳演であった。「頂上にて」における高揚感もなかなかである。こちらの曲は、さすがにバーメルトは譜面を見ての指揮だった。

オーケストラは、万全ではないものの健闘。私はキタラで札響を聴くのはこれが2回目(前回はエリシュカの退任演奏会)という程度なので、普段どんな演奏なのかまだよくわかっていないのであるが。

 

総合評価:★★★☆☆