サー・アンドラーシュ・シフのピアノ・リサイタルを東京オペラシティコンサートホールにて。

 

モーツァルト: ピアノ・ソナタ第17(16)番 変ロ長調 K.570

ベートーヴェン: ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 op.110

ハイドン: ピアノ・ソナタ ニ長調 Hob.XVI:51

シューベルト: ピアノ・ソナタ第20番 イ長調 D959

(アンコール)

シューベルト:3つの小品D946-2

バッハ:イタリア協奏曲(全曲)

ベートーヴェン:6つのバガテル〜作品126-4

モーツァルト:ピアノ・ソナタK545〜第1楽章

シューベルト:楽興の時第3番

 

今回の来日公演は、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトというドイツ・オーストリアの古典派を代表する大作曲家たちの最晩年のソナタを2回に分けて取り上げ、休憩なしにぶっ通しで演奏するという企画である。

 

実に素晴らしい!

演奏家の細かい部分の解釈がどうこうとか、誰がここでこういう変わったことをしているとか、特にオーケストラ作品だと私もいろいろと論じたくなるしそれがクラシック音楽を聴く醍醐味だと思っているのだが、よくよく考えてみれば、その作品の真価を十分に表現できている演奏が最も素晴らしいに決まっているのだ。つまり、当たり前のことであるが、その作品を聴いて大多数の人々が心の底から感動できるのであれば、その演奏は非常に素晴らしいものだということである。そういう点でシフは、これらの大作曲家の作品がいかに素晴らしいかということを、これ以上ないぐらいの水準で聴かせてくれた。このような演奏を聴いて、満足しない人がいるだろうか?作曲家たちも草葉の陰からきっと喝采を送っていることだろう。きっと今日この音楽を聴いた我々が皆この世からいなくなったあとでも、これらの音楽は永遠に生き続けていくことは間違いない。そう思わせてくれるだけの演奏である。

 

今回の企画、休憩なしで全ての曲を演奏するというものであり、モーツァルトとベートーヴェンの作品の後には会場から自然に拍手が起こったわけであるが、これがなければシフは座ったまま全ての曲を弾き続けたはず。この試み自体は非常に素晴らしい。

しかし、その後のアンコールがここまで長いと、正直聴いている方も疲れてしまって本編の素晴らしい感動がどこかに飛んで行ってしまったような気がするのだが…まあ、疲れたのなら途中で帰ればいいだろうという人もいるかもしれないが、それも失礼な気がするし。本編が20時40分頃終わって、アンコールが終わったのは21時20分過ぎだったか?これだけ長いアンコールはもはやキーシンに近い。

大阪のいずみホールでの公演はシューベルトのD959のソナタと、休憩を挟んでD960のソナタの2曲だったのだが、当日にシフの意向で冒頭になんとD894のソナタが追加され、更にアンコール5曲で大変な長さになったそうだ。それを知っていたので、アンコールが長くなるのは予想したが、今日の公演はいずみホールの公演と違って休憩がなかったのだ。19時に始まって21時20分まで約140分。うれしい反面ややきつい。シフのステージマナーはとても鷹揚なのだが、これだけ長時間弾きまくるさまはどこかハイテンションなものを感じる。

 

まあとはいえ、明後日の別プロも非常に楽しみである。

 

総合評価:★★★★☆