デイヴィッド・ジンマン指揮NHK交響楽団のB定期2日目を、サントリーホールにて。

ブゾーニ/悲しき子守歌~母の棺に寄せる男の子守歌 作品42
シェーンベルク/浄められた夜 作品4
ブラームス/ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品83(Pf:エレーヌ・グリモー)

1月の定期はジンマンがB、Cを指揮。C定期のマーラー7番は残念ながら行けなかったが、巷の評判は今一つ。

さて、今日のB定期、なかなか渋くていいプログラムである。
冒頭のブゾーニ、初めて聴く曲だが、小編成で極端なまでに音量を抑えて、本当に子守歌のようで眠くなってしまう。
2曲目は私が死ぬほど好きな浄夜。12-12-8-8-6という編成。ジンマンという指揮者、前回のN響への客演での「ツァラトゥストラはかく語りき」や、手兵チューリヒ・トーンハレとの来日公演におけるマーラー5番でも感じたのだが、とにかく音をガンガンとがなりたてることを絶対にしない人である。それどころか、どうしてここまで音量をとことん抑制するんだろう、というくらいに音を抑制して、透明、明晰な音を出すことにこだわる指揮者のようだ。こういう特質は、彼のおびただしい録音を聴いていても絶対にわからないと思う。
この日の浄夜でもやっぱり音量を相当に抑えて、凝縮された緊密な響きを作り出していたのが印象的。例えば、チェロのロングトーンなんかもストレートにすっきりと伸びていって、硬質な印象を与える。ただまあ、ここまで来ると、少々窮屈に聞こえないでもない。2009年に東フィルで聴いたエッティンガーの開放的にブンブン鳴らす浄夜とは対照的だし、昨年の大野/都響における精妙きわまりない、濃厚なロマンティシズムをたたえた演奏とも異なる。というわけで、私の好みかと言われると微妙だ。

後半のメインはこちらも超名曲、ブラームスの2番のコンチェルト。かつて「鍵盤の妖精」と言われたグリモーも、それなりの年齢にはなってきた。彼女はフランス人ながら、デビューした頃からブラームスなどのドイツものを得意としているわけだが、この日の演奏も、重厚ながら明晰なタッチでなかなか聴き応えがあった。しかし彼女の音が引き立っていたのは、引き締まった音色のオケがしっかり支えていたからに他ならない。ジンマンのアプローチ、協奏曲のバックでは非常に違和感なくて、ごつごつしていながら透明感があり、密度の濃い音でありながらソロを邪魔しないのだ。弦は14型。