サー・ロジャー・ノリントン指揮NHK交響楽団のC定期2日目(NHKホール)。
ベートーヴェン:序曲レオノーレ第2番、交響曲第4番変ロ長調
ティペット:交響曲第1番

ノリントンN響のベートーヴェンチクルス、昨年の1、2番に続き、今年は先日のA定期の3番、そしてこの日の4番。年末の恒例の第9はノリントンが振ることになっている。ところが、N響の来シーズンのラインナップを見るとノリントンの来日がないので、5番以降はもう2年待たなければならなさそうだ。
さてこの日の序曲と4番。木管を倍管にし、弦が16型であった先日の3番に比べて編成も小さく(弦は10-10-8-6-6)、よりピリオディックで軽めの響きで、固いばちを使ったティンパニが全体を引き締めていたのが特徴的だ。私個人的には、こうした小編成の方がノリントンらしくて好きである。やや速めのテンポで(特に2楽章は速さが際立った)、独特のフレージングを施し、はっとさせられる瞬間が多い。使用楽譜はわからないが、第2楽章のクラリネットのフレーズで通常聞いているものと違う部分があったりして興味深い(時間があったら調べたい…)。
冒頭のレオノーレ2番、3番に比べると演奏機会が少ないが、かつてブルーノ・ワルターは3番よりも2番を高く評価していた。こうしたピリオド奏法を取り入れた演奏で聞くのは初めてだが、非常に面白い。
この日も原則ノンヴィブラート奏法であったが、ファゴットの水谷さんとフルートは微妙にかかっていた。いや、別にいいのですが。
第1楽章が終わるとノリントンは「どう?」と言うような顔で客席を振り返る。終楽章が終わった瞬間にくるっと客席の方を向く所作も非常にユーモラス。昔、ロジェストヴェンスキーが読響でハルサイやったときもそうだったなぁ。

後半はティペットの1番。事前にNMLで予習をしたが、なかなか晦渋な音楽ではある。作曲者がその上演に力を注いでいたしていたバロック音楽の影響が確かに感じられる作風だ。しかし、第3楽章のスケルツォ、第4楽章の二重フーガなどはなかなか壮大で聞き応えがあり、もっと演奏されてもいいかもしれない。ここでもノリントンはノンヴィブラートで、大編成ながらすっきりとした響きの演奏になっていた。