ファビオ・ルイージ/PMFオーケストラの演奏を、東京オペラシティにて。曲目は

モーツァルト:クラリネット協奏曲イ長調(Cl:スティーヴン・ウィリアムソン)

ワーグナー:トリスタンとイゾルデ 前奏曲と愛の死

ブラームス:交響曲第2番ニ長調


PMF音楽祭の最終公演。昨日と異なり、PMFファカルティの先生たちは参加していない。

PMFのオケ、学生オケだと思ったら大間違い。既にそこそこのオケに入っているプロも多い。よって、そういう人たちの演奏はうまくて当然なはず。

でも、本当に普通の音楽学生もいて、彼らはやはりこれからなのだ。

今日の演奏も、やっぱりプロオケではありえないような場面もあるわけだが、それでも普通のアマオケに比べたら格段に上手い。特に弦セクションは昨日に増して上手い、と感じた。ブラ2におけるチェロの歌い回しなど、本当に唖然とさせられる。ヴィオラも昨日もそうだったがかなりいい音を出している。

一方、管楽器セクションはまずまずか。ホルンはなかなかであったが、木管群、特に前列は少々アンサンブルが乱れる。

でも、昨日よりは今日のほうが彼らの本領が発揮された、いい演奏だったように思う。

モーツァルトのソロを吹いたウィリアムソンはメトロポリタン・オペラのオケの首席。今年モーツァルトのクラリネット協を聴くのは3回目!が、クラのソロは割と普通だったような…

ワーグナー、こういう曲はアマオケには大変難しいはず。弦が弱いと息が続かないし、卓越した官能性がオケの響きに求められる。その点、今日のオケは意外にも健闘していて、やはり荒削りではあるものの、ワーグナー独特のうねりとか、ねっとりとした豊穣な響きも多少ではあるが表現していた。愛の死のクライマックスなど、なんぼなんでも咆哮しすぎでは?と思わせられるところもあったけど。しかし、ルイージはやはりオペラの指揮者なんだ、と痛感する。

後半のブラームス、16型。やはり弦がよく鳴っているが、弱音の繊細さはもう一工夫欲しかった。ルイージらしく鋭角的な音楽作りで、特にフィナーレのコーダは圧巻!ルイージ、以前ライプツィヒ放送響を連れて来日したときもこの曲をやったけど、そのときも驚くべき指揮ぶりだった。


今日は昨日同様、結構人が入っていて、満席だったかもしれない。それに、聴衆のマナーが昨日よりもずっとよかった。愛の死の後の拍手、もうちょっと待って欲しかったなあ。