メトロポリタン・オペラ来日公演、19日最終日昼公演の「ルチア」(東京文化会館)。
配役は以下の通り。
指揮:ジャナンドレア・ノセダ
演出:メアリー・ジマ-マン
ノルマンノ:エドゥアルド・ヴァルデス
エンリーコ:ジェリコ・ルチッチ
ライモンド:イルダール・アルドラザコフ
ルチア:ディアナ・ダムラウ
アリーサ:テオドラ・ハンスローヴェ
エドガルド:ピオトル・ベチャワ
アルトゥーロ:マシュー・プレンク
前回、ヴィラゾンのエドガルドを聴いて感激であったが、私はどうしてもかねてからいいと思っているベチャワのエドガルドが聴きたくて、「おけぴチケット救済サービス」にて今日の公演のチケットを購入した。
ダムラウは前回観たときよりも、第1幕から安定している。彼女の歌、落ちるとかはずすとかいうことを全く心配しないで聴けるからいい。第3幕のほとんど最後のところで1拍早く飛び出してしまったのはご愛敬。それにしても、彼女の「狂乱の場」、ある意味全く狂乱しているように聞こえないくらい軽々と歌うから、「ここってそんなに難しいのかな?」などと思ってしまうくらいである。さすが、コロラトゥーラの女王!
ベチャワ、私はこれまでドン・オッターヴィオ(ドン・ジョヴァンニ)、アルフレード(椿姫)、テノール歌手(ばらの騎士)、王子(ルサルカ)を聴いていて、特にルサルカの王子役はほんとに素晴らしくて泣きそうになった。
http://ameblo.jp/takemitsu189/entry-10133513300.html
METライヴビューイングのルチアでも、彼はネトレプコと共演。これもよかった。
http://ameblo.jp/takemitsu189/entry-10216352050.html
今日のエドガルドと前回聴いたヴィラゾンを比べると、ベチャワは声質が暗くやや重めで、役の性格まで異なって聞こえるからオペラも奥が深い。圧巻はやはり最終幕の「神に向かって羽ばたいた君よ」!これは本当にすごかった。私はイタリアオペラの悲劇でも、ドニゼッティやベッリーニでは全く泣けないのであるが、今日のこのアリアはじんと来た!
前回同様、エンリーコ役のルチッチも、ライモンド役のアブドラザコフもものすごくいい。とにかく、はずれの歌手が一人もいないからやっぱりMETはすごい。
オケも前回以上に切れ味鋭く、ノセダのダイナミックな音楽作りに舌を巻く。
今回の来日、3演目全部観たが、私はこの「ルチア」が一番だと思った。キャストがよかったのと、オケの鳴り方が(ルチアだけ東京文化会館だというのもあるが)一番よかったと思う。演出は、3演目どれも似たような印象であるが…
ちなみに、狂乱の場でのグラス・ハーモニカ。この珍しい楽器、モーツァルトもこの楽器のために、とても美しい作品を書いている。この楽器、奏者が神経障害になってしまうため、奏者が減ってしまったと記憶しているが、ウィキでもそのようなことが書いてある。ウィキによれば、発明したのはなんとベンジャミン・フランクリンだそうだ。