二期会のR・シュトラウス:サロメを、東京文化会館にて。ペーター・コンヴィチュニー演出。私が行ったのは初日(諸事情により更新遅れました)。


配役は

サロメ:林正子

ヘロデ王:高橋淳

ヘロディアス:板波利加

ヨカナーン:大沼 徹

ナラボート:水船桂太郎

ヘロディアスの小姓:栗林朋子 他

シュテファン・ゾルテス指揮東京都交響楽団。


当然ながら、このプロダクションの話題は鬼才ペーター・コンヴィチュニーの演出にある。これまた当然ながら、とんでもない演出である…暴力、セックス、オペラの舞台にはふさわしくないお下劣な数々の表現がちりばめられている。ハンス・ノイエンフェルスの演出などにも見られる、こうした演出を見ても、特に新しく感じなくなってしまっている自分が怖い。コンヴィチュニーの演出では、過去に「トリスタンとイゾルデ」、「アイーダ」、「魔笛」などを見ているが、今回のは特に強烈にお下劣。そのうえ、舞台中央に配置されたテーブル、そのテーブルの上に乗って歌ったりするのは最近の演出の流行のようである。

このわけがわからない演出がどんな意味を持っているのか、終演後にかまたさんのご意見をお聞きして膝を打ってしまった。なるほど。

最後のヘロデ王が「あの女を殺せ!」と命ずるシーン、予想通り普通のことはやらなかったが、ああいう展開になるとは…あの人たち、最初からいたんだろうか?


歌手ではヘロデ王の高橋淳さんが一番よかった。この人は美声だから、ヘロデ王のいやらしさはあまり声からは感じられないが、もっともよく透る声。サロメの林正子さんもいいが、私の席(3階正面)ではもう少し声量が欲しかった。他の歌手もしかり。ヘロディアスの板波利加さん、今回の演出でもかなり全面に押し出されている役だが、こちらはいやらしさを非常に巧く演じておられた。


オケは都響、さすがにこういう曲をやっても巧い。しかし、指揮者のゾルテスがやたら速いテンポで、シュトラウスのこのオペラのどろどろ感、おどろおどろしさというものが感じられなかったのは残念。


上演時間は1時間35分くらいか?何となく損した気分もあるが、オペラは短いに越したことはないか。

林 正子 大隅智佳子
ヘロデ 高橋 淳 片寄純也
ヘロディアス 板波利加 山下牧子
ヨカナーン 大沼 徹 友清 崇
ナラボート 水船桂太郎 大川信之
ヘロディアスの小姓 栗林朋子