新国立劇場オペラパレスにて、ワーグナー:トリスタンとイゾルデの3日目。配役等は前のブログをご参照ください。
新年が明けて最初の公演、正月ぼけでダメなんじゃなかろうかと思っていたが、全然そんなことはなかった。歌手陣の優秀さについては前2回と全く同じ感想である。とにかく、トリスタン役のグールドが圧倒的にいい。
よって、今回の公演で個人的に一番好きな幕は第3幕ということになろうか。トリスタンのモノローグが延々続くが、この部分をグールドの英雄的な声で聴けるのは幸せというほかない。
オケ、前2回に比べて、第1幕から音楽のメリハリがはっきりしてきて、ずいぶんよくなってきたと思う。第3幕でヴァイオリンの女性が演奏中に倒れて退席したが、大丈夫なんだろうか??過労?
演出について。今回気づいたのであるが、第1幕、トリスタンとイゾルデが毒薬(もちろん、実際は媚薬)を飲み干したあと、今回のマクヴィガーの演出では間髪入れずに抱き合うのだ。これは、媚薬に関係なく二人が前から愛し合っていた点を際立たせているのだろうか。ワーグナーの台本には、少なくとも盃をを飲み干してすぐに抱き合うというト書きにはなっていない。今回の演出は、媚薬が単なるトリガーに過ぎなかったということを強調しているように思われる。
あと、第2幕の幕切れ、トリスタンがメーロトの剣に立ち向かって負傷するシーン、ここでのイゾルデの動きは極めて緩慢だ。他の演出がどんな感じだったか覚えていないのだが、トリスタンが死を覚悟して毒が塗ってあるメーロトの剣に立ち向かっていることから、イゾルデはトリスタンが死に急いでいることを肯定的に受け止めている?というのは勘ぐり過ぎだろうか。
ちなみに、第1幕の前奏曲が終わると船が水上を回転しつつ、薄い透き通った幕が上がるのであるが、今回はタイミングを誤ったらしく、幕が舳先にひっかかってばりばりとものすごい音を立てた。何かぶっ壊れてはいないだろうか?
今日は皇太子がご臨席ということで華やいだ空気だった。それにしても、そばにいたじいさん2名の鼻息がうるさいのには閉口。自分では気にならないのだろうか?あと、第3幕の愛の死の最後、今日も前回と同様、1階だと思うが決然とフライング拍手をするバカ者がいた。前回と同じ人間だろうか。