8月14日、ザルツブルク祝祭大劇場にて。
Friedrich Haider, Conductor
Edita Gruberova, Norma, druidess, daughter of Oroveso
Joyce DiDonato, Adalgisa, young priestess at the temple of Irminsul
Marcello Giordani, Pollione, Roman proconsul in Gaul
Ferruccio Furlanetto, Oroveso, head of the Druids
Ezgi Kutlu, Clotilde, Norma's confidante
Luciano Botelho, Flavio, friend to Pollione
Concert Association of the Vienna State Opera Chorus
Jörn H. Andresen, Chorus master
めちゃくちゃ金持ちそうな紳士淑女とともに祝祭劇場前にタクシーを横付け。でかいスーツケースをがらがらひっさげてクロークに預け、意外にも15分前にはロビーにいた。空港到着から開演まで55分という荒技。ちょっと飛行機が遅れたり、バゲージクレイムでトラブルがあったら「清らかな女神よ」は聴けなかったことだろう。
さて、今回の戦いの日々の最初はグルベローヴァのノルマ。この公演は今回1回限りであり、当然ながら完売公演である。
いや、これは疲れがふっとぶくらい圧倒されてしまった…女性の年齢に言及するのも無粋ではあるが、グルベローヴァ、この人もう64歳である。ザルツブルク音楽祭にデビューしたのが1973年だというから、もう37年この音楽祭でコロラトゥーラの女王として歌っているのだ、それもいまだ主役を!通常、歌手生命はピークで10年くらい、という話もあるから、これは驚異としか言いようがない。2008年に来日公演で聴いた「ロベルト・デヴェリュー」もすごかった。
http://ameblo.jp/takemitsu189/entry-10158803681.html
グルベローヴァ、さすがに若い頃に比べれば声に硬さが出ているけれど、高域は未だに驚くほど伸びるし、低域のドスの効いた発声は迫力がある。「清らかな女神よ」はかなりのスローテンポだったのに、難なく歌いきり、会場はブラヴァの嵐!
アダルジーザを歌ったディドナート、2002年に新国のセビリャの理髪師で爆笑のロジーナを歌った人であるが、この人も声はすっきりと伸びて美しい。ノルマとの二重唱がすばらしかった。ポリオーネ役のジョルダーニ、初めて聴く人だが、デビューが1986年というからそんなに若い人ではない。ビロードのようで鼻に抜ける発声がなんともいえず快感。オロヴェーソのフルラネット、この人もカラヤン時代から活躍した人だから相当なヴェテランであり、さすがに少々くたびれてきているが、迫力は相当なものである。
意外によかったのが、ハイダー指揮カメラータ・ザルツブルク。冒頭の序曲からイタリアオペラらしいつややかな明るい響きを維持しつつ、スコップでえぐり出すような弦楽器の迫力は大変なものだ。ウィーン国立歌劇場の合唱は当然にうまい。