サントリーホールにて、上原彩子のリサイタルを聴く。

1月は行きたい演奏会が少ないのであるが、やはり禁断症状が出て、昨日はオルソップ/読売日響に行こうと思ったが、仕事がいろいろあって、結局やめた。そんなわけで、土曜日の上原彩子、こちらも迷っていたのであるが、曲目をもう一度見て行くことを決意。


曲目は

J.S.バッハ:『平均律クラヴィア曲集 第1巻』から第1番 ハ長調、第8番 変ホ短調、第7番 変ホ長調

  • タネーエフ:プレリュードとフーガ
  • ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 op.109
  • リスト: J.S.バッハのカンタータ「泣き、悲しみ、悩み、おののき」の通奏低音とロ短調ミサの「クルチフィクス」による変奏曲
  • 西村朗:『神秘の鐘』から 1.薄明光
  • リスト:ラ・カンパネラ
  • :『巡礼の年 第2年 イタリア』から「ペトラルカのソネット第47番」、「同 第104番」
    :ハンガリー狂詩曲第2番 嬰ハ短調

    (アンコール)

    ショパン:別れの曲

    カプースチン:「8つの演奏会用エチュード」からプレリュード


    実に凝ったプログラムで、こういう演奏会にはすぐに行きたくなるものだ。

    前半のバッハの平均律、曲が始まる寸前に携帯電話がP、RA当たりで鳴る。全くとんでもない。これがハ長調の前奏曲の途中で鳴っていたら、私はぶち切れていただろう。

    彼女のバッハ、癒されはしたものの、各声部の旋律線がところどころ途切れて聞こえたのはNG。個人的には、バッハの各声部は全部聞こえてほしいのである。

    タネーエフのプレリュードとフーガ、初めて聴くが、後期ロマン派の香りを残す佳品。ベートーヴェンの傑作30番、こちらも癒されはしたものの、今ひとつ踏み込みが不足。

    後半のリストになって、上原の本領が発揮された。やはり、彼女にはこうしたヴィルトゥオーゾ系の曲をどうしても期待する。間に挟まれた西村作品はとても親しみやすく、響きも美しい名作。

    しかしながら、表面的にはきれいに鳴っているものの、何か欲求不満が残る演奏であった。作品の底にある何かが、全く見えないのである。もっとも、上原もまだ若いので、今後に期待したいところ。

    アンコールの2曲目はなんとカプースチン!生で聴いたのは初めてだ。聴いた感じはほとんどジャズであるが、旧ソ連時代にロシア人がこんな曲を作っていたとは驚きである。