ベルガモ・ドニゼッティ劇場来日公演で、ヴェルディの「椿姫」を観る(東京文化会館)。私にとって今年最初の公演だ。パオロ・パニッツァ演出。キャストは
ヴィオレッタ:マリエッラ・デヴィーア
アルフレード:アントーニオ・ガンディア
ジェルモン:ジュゼッペ・アルトマーレ 他
ブルーノ・チンクエグラーニ指揮ベルガモ・ドニゼッティ劇場管弦楽団、合唱団。
2010年最初の公演からネガティブなコメントせざるを得ない内容だった。
第一幕、オケと独唱が全然合わず、特にデヴィーアはやたら遅れ気味、全然オケと合わない。指揮者が見えないのだろうか?あげく、「乾杯の歌」は音楽が止まりそうになって指揮者が歌って修正する始末。アルフレードは鼻声で声がフラット気味、高音はかすれかなりやばそうな状態。ヴェルディのオペラを本場イタリアの団体がやっている割には、リズムの切れは悪く、音楽が流れない。デヴィーアは本公演の最大の期待だが、声が固くて重く、私は全然いいと思わなかった。演出はB級演劇のセットのように安っぽく、1幕では中央にソファ、その上に巨大指輪のようなわっかがあるのだが、それが意味もなく下がって上がる。
第二幕以降は少し持ち直したか。ジェルモン役のアルトマーレにはもう少し声の深みがほしい。包容力が全く感じられない。またデヴィーアが歌うとどうもオケとの絡みがぎくしゃくしてしまう。指揮者のせいなのか、指揮台が見えないのか、プロンプタがいないからなのか、詳細は不明だが、今まで私が数多く観て、CDで聴いてきたこのオペラの公演として、水準は高くない。2幕後半で登場するダンサーもB級の匂いぷんぷん。第三幕、ヴィオレッタがジェルモンからの手紙を読むシーン、立ったまま手紙を手にしているものの全然手紙を見ることもない。この演出って、いったいどういう意味があるんだろう?
イタリアの準一流以下のオペラハウスのオケって、だいたい粗くてところどころ異音が混じる。今回のオケもそうなのだが、そんなに悪い印象はない。
というわけで、明日の妙薬も全く期待しないで行くことにした。
椿姫、今から7月のトリノの公演が待ち遠しい…