ゲルネとエマールによるリサイタルを、東京オペラシティで聴く。曲目は
ベルク:4つの歌曲
シューマン:女の愛と生涯
シューマン:リーダークライス
アンコールはシューマン:ミルテの花~24曲、1曲
ゲルネのバリトンを聴けるだけでもすばらしいのに、ピアノをなんとエマールが弾く。贅沢である。
私の席は前から3列目だったが、その深々とした声に引き込まれる。弱音は繊細であるが、フォルテの迫力もすごい。この人はワーグナーの楽劇にも出演することがあるんだから、それも当然だろう。
それにしても、女の愛と生涯を男声で歌うとは!ゲルネによると、この歌曲は男性の視点から描いているということだが、歌詞の内容はどう考えたって女性の視点だから、違和感があるのは事実。でも、マーラー「大地の歌」でもそうだが、すばらしい歌は男声だろうか女声だろうがすばらしいのも事実である。
まあ実際、詩を書いたシャミッソーも、曲を書いたシューマンも確かに男性だ…男性の視点からして、女性はこのように感じているんだろう、という想いを歌っているとも言える。
エマールのピアノも、思い入れたっぷりのもの。彼がかつて同じホールで弾いた交響的練習曲や、三鷹で弾いたカルナヴァルもすばらしかった。弱音に対する執着がすごい。