10日、トッパンホールにて、ティル・フェルナーのリサイタル。曲目は
ベートーヴェン:ソナタ25、24、15「田園」、27、4番。アンコールは19番のソナタ。
フェルナーのベートーヴェンのソナタ全曲演奏会、ここ東京以外でもウィーンのコンツェルトハウス、ロンドンのウィグモアホール、パリのサル・ガヴォー、そしてニューヨークのメトロポリタン美術館で開催されている。
フェルナーは今年この演奏会のために3回来日しており、その都度ここトッパンホールでのリサイタル1回。こんな小ホールで、チケット代だってそんなに高くないのに、それだけのために来日するというのは本当にありがたい話。
実際、今回の演奏も本当にすばらしいもので、1曲1曲にじっくり取り組み、納得してから演奏会にかけるという真摯な姿勢が見て取れる。
フェルナーの今回の演奏も、手首のバネを活かした軽快なタッチを活かして、ウィーン出身のピアニストならではの馥郁たる響きを聴かせてくれた。各曲の完成度は驚くほど高く、ソナタ形式の構成感も見事。その上、初期の4番などはシューベルトに通じる歌心を感じる。こんなすばらしいベートーヴェンを聴かせるピアニストは、そう多くはないだろう。
全曲演奏会といいつつ、よくよく見ると19番と20番が欠番している。これは、アンコールで弾いてくれるということなんだろうか。とにかく、今回のアンコールは19番だった。