前日に引き続き、アラン・ギルバート指揮ニューヨーク・フィル(サントリーホール)。曲目は

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲(Vn:フランク・ペーター・ツィンマーマン)

(アンコール)バッハ:無伴奏ソナタ第3番BWV1005よりラルゴ
ベルリオーズ:幻想交響曲

(アンコール)

ワーグナー:ローエングリン~第3幕への前奏曲

ブラームス:ハンガリー舞曲第6番


前日も結構人が入っていたが、この日も完売ではないものの、結構人が入っている。同じアメリカのオケでも、昨年のロサンゼルス・フィルや、今年2月に来日したシカゴ響はがらがらだったのと対照的だ。

小ホールで、前日はクレディ・スイス証券(NYPと単独グローバルスポンサー契約を結んでいるそうだ)のレセプションがあり、この日は三井物産だったから、企業動員もかなりあるんだろう。だいたい、客層が普段のクラシックのコンサートとは明らかに異なって、バブリーで重厚な感じ。


オケのメンバーだが、かなりアジア人が多い。チェロの工藤すみれはてっきりソリストだと思っていたら、なんとこのオケのメンバーに載っている。しかもソロではなくトゥッティだ。ネットで調べたら、彼女自身のブログがあって、それによると2006年からメンバーみたいだ。また、音楽監督アラン・ギルバートの母、建部洋子はまだメンバー表に載っていて、今回の公演にも参加しているはず。

それにしても、このオケのメンバー表を見ると、同じ苗字が多いのは単なる偶然か?アドミにいる建部さんは親戚?


さて、ブラームスのコンチェルトは、現代存命中のヴァイオリニストでは5本の指に入るであろう(と私が独断と偏見で思っている)ツィンマーマン。彼の音は大変に説得力があって、思わず引きつけられるものがある。端正なスタイルではなく、少々鋭角的な音であるが、第3楽章のオケとの丁々発止などは大変に聴き応えがあった。なお、どういうわけか、私の悪い耳にはヴァイオリンの音程がオケよりわずかに低く聞こえたのだが。

オケは昨日のベートーヴェン同様、ヨーロッパのオケのようなずっしりとした重さがない。もともと、直線的で明快な音を出すオケだから、好みの問題もあろう。オーボエ首席のリャン・ワンのソロもまずまずだ。


後半の幻想、やはりニューヨーク・フィルはこういう曲がいい。前日のマーラー同様18型(私の席が両日とも左寄りだったので、コントラバスの本数は確認できなかったが)。

ギルバートはここでもオーソドックスな解釈でありながら、NYPのパワーを存分に発揮しつつ大変な説得力ある音楽を展開し、前日の巨人同様、大変見通しがよい演奏で、フィナーレへ向けての自然な高揚感は特筆されよう。4,5楽章のブラスセクションの底力には驚嘆させられる。


アンコールはありがたいことにワーグナー。その後ハンガリー舞曲というのは逆のほうがよかったけど、前日に引き続きコンサート終了は9時半。