すばらしい…!!
ダニエル・バレンボイム指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
ソプラノ:バルバラ・フリットーリ メゾ・ソプラノ:エカテリーナ・グバノヴァ
テノール:ヨハン・ボータ バス:ルネ・パーペ
でNHK音楽祭の初日(NHKホール)。
宗教音楽オタクとしては、最高の一晩だった!
もっとも、ヴェルディのレクィエムは、宗教音楽というよりはオペラティック。個人的には、古今東西のレクィエムのなかで、ブラームスのドイツ・レクィエムと並んで好きな作品である(最近は戦レクもお気に入り)。
録音では、今更ながらカラヤン(BPOとの旧盤がすばらしい)、意外にゲルギエフの録音もいい。
昨日までのアイーダを聴く限り、バレンボイムのイタリアものはダメじゃないかと思っていたが、今日のレクィエムを聴くとそれが誤りであったことは明白である。この粘っこく重々しいアプローチ、晩年のカラヤンのヴェルレクに通じるものがある。
例えば、終曲のリベラ・メの途中、ものすごいクレッシェンドかけたりして、劇的効果抜群だった。
何より、今日は歌手と合唱がぴかいちだった。バルバラ・フリットーリ、現代最高のソプラノ、声もつややかで官能的、色気たっぷりであり、その上ルックスが最高にいい。こんな美人歌手はそうそういない。ルックスと声の双方に色気がある歌手は、現代ではこのフリットーリとナタリー・デセイの2人だろう。
フリットーリ、日曜日のドン・カルロのエリザベッタも楽しみだし、来週のソロリサイタルも楽しみ、来年のトリノ王立歌劇場のラ・ボエームのミミも期待大である。
また、今日はテノールのボータが健闘。声でかくて迫力ある。弱音はやや弱くなるものの、今日は満足だった。バスのパーペは相変わらず深々とした低音が魅力的だ。
グバノヴァはまあ、そこそこだが十分水準以上だし、何より100人近い合唱団の表現力がすごい。
スカラ座のヴェルレク、昔はカラヤンが若き日のパヴァロッティと共演した映像があるが、これは客席に人がいたりいなかったりでとても変な映像。その上、カラヤンがあまりにキザで見ていられない。でも演奏はとてもいいし、パヴァロッティのつややかな声は誰にもまねできないもの。
スカラ座、あとは録音で、ムーティ、アバドのものがあるが、スカラ座のヴェルディはやはり格別だ。
今日は開演前、アナウンスで「終曲は曲の余韻を十分味わってください」のようなことを言っていて、苦笑。どうせなら、「曲が終わったら30秒は拍手するな」くらい言ってもらいたかった。現に、バレンボイムが指揮棒おろす前に3階の一部の客が拍手を始めた。あれだけ注意してもこの有様だ。
数年前、やはりNHK音楽祭でシャイー/ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団がヴェルレクをやったとき、終曲で音が終わるや否やものすごい拍手をしたバカがいて、実に不快だった。そばにいたら怒鳴りつけたいところだった。おそらく、会場の大半のお客さんは同じ思いをしたはず。今日のアナウンスは、私の勝手な解釈だが、あのときのようなことにならないための策だったのではないか。
でも、今日のお客さんはここ数年のNHK音楽祭の中ではかなり静かだったと思う。
終演後、合唱団のメンバーがバレンボイムにものすごい拍手をしていた。バレンボイムはスカラ座の中ではかなりの人気なのだろうか。