オーチャードホール20周年記念ガラコンサートということで、
ワーグナー:タンホイザー序曲、トリスタンとイゾルデ~前奏曲と愛の死(オケ版)
ワルキューレ~第3幕
出演:ラルフ・ルーカス(ヴォータン) キャスリン・フォスター(ブリュンヒルデ)他
飯守泰次郎/東京フィル
ガラ・コンサートということで、オーチャードホールの入り口は赤絨毯が敷かれていたりするが、客の入りは6~7割程度と低調。ガラコンサートでガラガラとはしゃれにもならない。平日の今日(木曜日)と土曜日の2公演だからということもあろうが、それにしてもクラシックの演奏会の客の入りは最近異常に少ない。
ヴォータン役のアラン・タイトスは、ここ1、2年の外来歌手の傾向通りのドタキャン。プログラムには、当初のキャストであるアラン・タイトスが記載されているから、いかにドタキャンかがわかる。咽喉頭炎ということだが、最近の外来歌手のドタキャンのあまりの多さからして、もう信用ならんというのがファン心理だ。客の入りが悪いのでキャンセル??などと、勘ぐってしまう。明日から始まるミラノ・スカラ座も歌手がキャンセルだらけだ。
さて、今日の公演、ワーグナーファンならやはり行かざるを得ない公演であるが、あまりの客席の少なさにびっくりしてしまう。
ブリュンヒルデのフォスターはイギリス人、ワイマール歌劇場の歌手。さすがに馬力はあるものの、ホールのもやもや感のせいもあり、まずまずといったところだろうか。代役のヴォータン、ルーカスはバイロイト生まれのバイロイト歌手。よって、非常に安定した歌唱だったが、迫力とか存在感は、私が聴いたベストのシュトゥルックマンに及ばず。
今回は指揮の飯守さんがやはりすばらしい。すべて暗譜。曲を全て手中に収めている感じだ。タンホイザーは少々一本調子だったが、トリスタンのうねりはとてもすばらしい。彼のようなすばらしいワーグナー指揮者が国内だけで活躍しているというのはもったいない気がする。
オケは大音量で鳴っているが(3階R所見)、細かい部分では粗い。どうしても、官能性という点ではヨーロッパの一流オケには及ばない。