ロッシーニのチェネレントラ(新国立劇場)プリミエ。なんとジャン=ピエール・ポネル演出。カラヤンの「蝶々夫人」の映像などでおなじみの演出家だ(故人)。

配役は

【ドン・ラミーロ】アントニーノ・シラグーザ
【ダンディーニ】ロベルト・デ・カンディア
【ドン・マニフィコ】ブルーノ・デ・シモーネ
【アンジェリーナ】ヴェッセリーナ・カサロヴァ
【アリドーロ】ギュンター・グロイスベック
【クロリンダ】幸田 浩子
【ティーズベ】清水 華澄 

デイヴィッド・サイラス指揮の東京フィル、新国立劇場合唱団。


なんと言っても今回の目玉は主役の二人、そう、シラグーザとカサロヴァだ。カサロヴァクラスの世界的歌手が新国立劇場に登場するのは久しぶりだろう。もっとも、私の目当てはむしろシラグーザ。

彼の輝かしい声にはすっかりファンになってしまった。 

そのシラグーザ、新宿の某パスタ屋の常連らしく(私もその店の常連)、5月の中旬に店にいるところを目撃した。新国立劇場のリハーサルは1ヶ月も前から始まっている?しかし、舞台で見ると端正な顔立ちにカツラかぶっているからりりしく見えるが、オフで見るとスキンヘッドの小太りのお兄さんだ。


ロッシーニのチェネレントラ、いわゆるシンデレラ姫のお話。ロッシーニのオペラといえばなんと言ってもセビリャの理髪師が圧倒的に有名だが、近年、ロッシーフェスティヴァルなどのおかげで他の作品が見直されてきている。とはいえ、個人的にはセビリャ以外はなかなか心底いいと思えないのが正直なところ。昨年のロッシーニフェスティバルの「オテロ」は遅刻したこともあってさっぱり記憶にないし、チェネレントラは昨年スポレート歌劇場来日公演で観たが、シラグーザの王子以外は、スポレートのオケ、ダニエラ・バルチェローナの代役のアンジェリーナ役の歌手がとても残念な結果だったこともあり、こちらも印象が薄い。


さて、今回の公演、さすがに歌手陣は主役2名を始めレベルが大変高いし、ロッシーニの喜劇にふさわしい演技力だったと思う。

アジリタの技術は日本人歌手(クロリンダ、ティスベ)が少々弱く感じられたが、初日だから今後よくなるかも?他の歌手は見事。しかし、このオペラ、アンジェリーナのちゃんとしたアリアって最後しかなかったんだっけ?途中でカサロヴァがちゃんと歌う場面がなかったような気が。カサロヴァの深々とした低音は先日のカルメン同様とても感心するが、好きかと言われると…微妙なところだ。でも、現代の歌手でこれだけすばらしい低音が出せる女声歌手は少ないだろう。

ポネルの演出はバイエルン州立歌劇場のプロダクションらしいが、結構シンプルなものである。

オケは部分的に美しいと感じられたが、ロッシーニの音楽独特のはつらつさとかメリハリがもう少し欲しいところ。とはいえ、昨年のスポレートの終わってるオケよりはずっとよいが…