沼尻竜典/日本フィルの演奏で、マーラー:交響曲第10番~アダージョ、R・シュトラウス:アルプス交響曲という自分好みの後期ロマン派選曲(サントリーホール)。


マーラーの10番のアダージョは今年3回目。ジンマン/N響、上岡/読響、そして今回の演奏である。

冒頭のヴィオラが美しいが、次第に弦楽器全体の音のあまりの薄さに不満が…そう、全体に薄く平坦な音なのである。私の席がRDと少々遠かったせいもあろうが。

10番は、マーラー作品の中でも最も弦の厚みが必要な音楽ではないだろうか。今年聴いた3回で、その点クリアしていたのはN響のみ。


後半のアルペン、これもなぜか今年3回目。デワールト/N響、ルイージ/シュターツカペレ・ドレスデン、そして今日。

こちらもやはり、音にふくらみがなくのっぺりしている。いや、悪い演奏ではないし、健闘はしているのだが…ドレスデンを聴いたばかりでこのオケで同じ曲を聴いたのが間違いだったのか…

Pブロックのオルガンの下にホルン奏者12人のバンダ、ペット2、LAブロックの上にトロンボーン奏者2名。「登り道」で通常舞台裏から聞こえるこれらの音を、視覚的に見える位置で演奏させた興味深い演出だが、音でか過ぎ。ここは遠くのほうからこだまするような音で聞こえてこなければならないと思う。

金管の音も固く平坦で、比べる意味は全くないとは思いながらも、先日のドレスデンの金管群のふくよかさを思い出してしまった。