ツィメルマンのリサイタルAプロ(サントリーホール)。曲目は
J.S.バッハ:パルティータ第2番 ハ短調 BWV826
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 op.111
ブラームス:4つの小品 op.119
シマノフスキ:ポーランド民謡の主題による変奏曲 op.10
今日の席はLAブロック。ツィメルマンの真後ろだ。
前半、音が響きすぎるきらいがあり、どうもなじめないが、サントリーホールの特性だから仕方ない。バッハは響きすぎないところでもう一度聴きたい。ベートーヴェン32番、第2楽章の響きはなんと天国的なのだろうか!まさにこの世の音とは思えぬ、天を舞うような音の数々であった。
休憩をはさんでブラームスが鳴り始めたが、前半に比べて音がしっかりと安定しており、響き過ぎない。ブラームスということで重厚な音を予想すると、さにあらず。とてもきらきらとやわらかい音なのであった。最後のシマノフスキ、こちらは圧巻であった。ツィメルマンが今回満を持して日本の聴衆に聴かせたかったのは、まさにこのプログラムであろう。前回のルトスワフスキのコンチェルトもそうだったが、自国の作品に対する愛情、そして深い理解と譜読みは半端ではない。こんなすごい作品がまだ知られずに残っていたなんて、驚きである。全ての音が磨き抜かれていて、ホールの中を縦横無尽に舞う。
この作品とベートーヴェンは、幸せなことに6月のBプロでも聴くことができる。今からとても楽しみだ。
この大作の後にはアンコールなし!それでいい。