ハイティンク/シカゴ交響楽団来日公演、東京初日のマーラー:交響曲第6番を聴く(サントリーホール)。


最近あまたの超一流オケが来日し、感覚がマヒしてきているが、今回の公演は大好きなハイティンクの指揮で、これまた大好きなマーラーの最高傑作、6番である。私の事前の期待、興奮は並ではなかった。


結論から言おう。予想に違わない超名演であった。今まで聴いたマラ6の中で最高である!


ベルナルト・ハイティンク(1929~)は現存する指揮者のなかで、私が最も好きな指揮者である。カラヤン、バーンスタインはもちろん、ショルティもジュリーニもクライバーもいないこの時代、数少ないマエストロになってしまった。

個人的な話をすると、私はハイティンクに関しては比較的聴く機会に恵まれてきた。97年ウィーン・フィル(広島)、2000年ベルリン・フィル(ルツェルン)、2002年ウィーン・フィル(NY)、03年スーパーワールドオケ(東京)、04年シュターツカペレドレスデン(東京)、都合8回聴いている。そのなかで、広島で聴いたマーラー9番は一生忘れられない演奏で、不覚にも涙してしまうほど感動的な演奏だったし、NYでのブルックナー8番、巨大な雪山を思わせるような壮大な演奏で、これも一生ものだった。


マエストロ・ハイティンクの演奏は、一切奇をてらったところがなく、ごくごく自然体。ほんと、何もしていないかのようだ。それでいて、曲の構成感がすばらしく、各パートのバランスがよく、決めるところはバシッと決め、終わってみるとものすごく感動している。とにかくこの人、曲に語らせるタイプで、自分の個性をやたら主張したりしない。

以前本で読んだが、ハイティンクはプローベでは100%完成させず、不完全な部分を残しておく。その状態で本番を迎えると、オケが適度な緊張を持っていい演奏をするというのだ。


それにしても今日の演奏。私の席は2階中央の8列目(これでS席?)だったが、オケはがなりたてることなく、非常に透明感がある音だった。金管セクションの抜群にうまいこと!CSOの看板奏者、ホルン首席デール・クレヴェンジャー(1966年入団、在籍42年!)は往年の輝きは多少薄れてはいるが抜群の存在感、突き抜けるようなペット(終楽章の練習番号150の前あたりなんか最高!)、ほれぼれしてしまう音色のトロンボーン&チューバ、ほんと上手いが全くうるさくなく、バランスがとてもいい。もちろん他のセクションも抜群に上手い。


今日は若干当日券が出たようだが、ほとんど空席はなかった。S席4万円という尋常でない価格設定にもかかわらず、だ。それに、お客さんの質が大変高かったと思う。


さて、明後日はハイドンとブルックナー、そして明明後日はモーツァルトとR・シュトラウス。今から期待が高まる。