今年はカラヤン生誕100周年、そしてウィーンフィル協会創立100周年。ということで、楽団長ヘルスベルクによる講演会、そしてウィーンフィルメンバーによる弦楽四重奏がサントリーホール大ホールにて開催された。
前半がカラヤンとウィーンフィルの関係の歴史についての楽団長講演。カラヤンおたくの私としては、新しく得られた情報はなかった。その公演ののち、客席にいたマエストロ・ムーティが舞台に上がり、カラヤンの思い出を話すことに。
ムーティがフィルハーモニア管を連れてアメリカ演奏旅行に行ったとき、ノースカロライナのある小さな街のホテルで朝7時に電話が鳴り、どうせ間違い電話だと思って出てみると「カラヤンです」というダミ声。奥さんに「こいつ、自分がカラヤンって言ってるよ」と言って最初信じてなかったが、話してみるとまさに本人で、「再来年のザルツブルク音楽祭でコシ・ファン・トゥッテを振ってくれ」とのこと。「1か月考えさせてください」と言ったところ、「イエスかノーか今決めろ」と言われたとか。このときのイエスが、ムーティとウィーンフィルとの関係のきっかけになったとか。まあ、この話はどっかで聞いたことがある。
もうひとつ、ムーティは89年のカラヤンの死去をザルツブルクからの電話で、ラヴェンナの自宅で聞いたときのことを披露してくれた。
カラヤンは死の3日前、健康状態が悪く「もしあなたが振れないことがあったら、仮面舞踏会(ヴェルディのオペラ)は誰が振るのか」と聞かれ、「ムーティだ」と答えたという。そこで音楽祭からムーティにそのことが伝えられ、仮面舞踏会を振ってくれと依頼されたが、ムーティは「カラヤンの代わりは誰にもできないので、公演を中止すべきだ」と伝えた。しかし、いまさら中止できないということで、ムーティは辞退し、ショルティが代役を務めることになったという。これは、公の場で話すのは初めてだとか。
後半はウィーンフィル協会100周年の話だったが、こちらは少々無理やりな企画。
弦楽四重奏はハイドン、モーツァルトのほか、フランツ・シュミット、オットー・ニコライのめったに演奏されない曲が披露された。
余談だが、シュミットって、「7つの封印の書」も「ノートルダム」もほんと素晴らしい!しかし、あまり演奏されないのは残念。ほんと、耳当たりもいいし、ルイージが録音した交響曲全集もかなりいい。