土曜日はサントリーホールにて、チョン・ミョンフン指揮スカラ・フィルで、ロッシーニの「アルジェのイタリア女」「ウィリアム・テル」序曲、プッチーニ「マノン・レスコー」前奏曲、ヴェルディ「運命の力」序曲(以上前半)、チャイコフスキーの交響曲第4番。

スカラ・フィル、要するにミラノ・スカラ座管弦楽団。かつてトスカニーニ、カラヤン、アバド、ムーティがシェフを務めた、イタリア最高の名門オケだ。

今回、クラチケ掲示板で直前にP席をゲット。P席ゆえ、オケのバランスについては全く論評する資格がないのであるが…

イタリア女の冒頭、弦のピッツィカートに続くオーボエソロを聴いて、「ああ、古い音がする」と感動。スカラ・フィルや、たとえば他のオケだとザンクト・ペテルブルク・フィルなんかを聴くと、手入れが行き届いた最高の骨董品をイメージしてしまう。それにしても弦の優美で艶やかなこと!馥郁たる木管の響き、奥ゆかしい金管の響き、やはりこのオケは最高だ!プッチーニのたおやかな弦セクションに泣かされる。イタリアのオケって、今まであまり意識していいと思ったことがなかったが、このオケとローマのサンタ・チェチーリアのオケは現在最高水準ではないだろうか。

後半のチャイコも、イタリアの名門オケならではのカンタービレが利いているうえ、金管は抑制が利いており、また熱い血のたぎりも感じたりして、十分満足させられるものだった。

例によって、会場にはチョン・ミョンフンの後援会が多いのか、いきなりのスタンディング・オベーションの嵐。このオケとチョンがどの程度共演を重ねているかわからないが、P席で観ていたということもあるがアインザッツの乱れも少々感じられた。

チョン・ミョンフンやコバケンの演奏会だと、どんな場合でもお祭り騒ぎになる。時として、そんなに熱狂するほどの演奏か?と思う日も多いのだが、今回のスカラ・フィルとの共演はそれだけ喝采すべきものだったと思う。最後に、チョンはなんと1F客席に降りて、観客と一緒にスカラ・フィルに拍手を贈ってたたえるというパフォーマンス。

ちなみに、アンコールはウィリアム・テルの行進曲。