今日(5日)は、私が音楽家として敬愛してやまない、また一人のオトコとして尊敬してやまないカラヤン先生の生誕100年です。

カラヤンが生きている時代、彼の評価は本当に賛否両論でしたが、今ではカラヤンの偉大さについては争いがないような気がします。人によって好き嫌いはあっても、彼が音楽界に残した功績、すなわちクラシックファンのすそ野を広げた功績は誰も否定できないのではないでしょうか?

裾野を広げたとはいえ、カラヤンの作る音楽はまさしく最高級で、多くの通をうならせるものです。作り出す音、キャスト、徹底してこだわり抜いており、カラヤンの後にも先にもあれだけのこだわりを持って音楽した人はいないでしょう。

私がカラヤンの実演に接したのはただ1度、中学2年のときです。ハイドンの天地創造に行きました(今もって、ハイドンは苦手なんですが…)。普門館というどでかいホールでした。覚えているのは、演奏が終わってから舞台間近でカラヤンを目の前で見たときのこと。

「えっ、こんなにちっちゃいの?」というのが第一印象でした。あれだけの偉大な指揮者ですから、勝手に大きいイメージを持っていたんですが。でも、ギリシャ彫刻のような彫の深い顔立ちに、なんかすごく威張った感じで歩いていたのを覚えています。今思うと、そのころ脊椎の病気で背中が痛かったんでしょうね。だからあんな偉そうな歩き方だったのだと思います。

私のカラヤンに対する思いを書き始めたらそれこそきりがありませんのでまた別の機会にしたいと思いますが、あれだけの大スターであっても、毎朝4時に起きてスコアの勉強をしていたというのは本当に脱帽です。小澤征爾さんもそうですが、スターといわれている人は才能はもちろんですが、さらに人一倍、いや何倍もの努力をしています。

私が一番最初に買ったカラヤンのレコードは、ベートーヴェンの第九。1962年、ベルリン・イエス・キリスト教会での録音です。それこそ、擦り切れるくらいに繰り返し聴きました。その音源が最近SACDで発売されたので、全集買っちゃいました。SACDは低音の解像度抜群で、モノクロの写真がカラーで蘇るくらいの感動を覚えます。今SACDで聴くと驚くほど元気がいい演奏ですね。