皆さんこんにちは。

本日は「人的資本経営を考える」というテーマで書き留めたいと思います。

 

グローバルの潮流、そして日本も有価証券報告書に開示が義務付けられたこともあり、「人的資本経営」に対する関心が高まっています。

人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です。これは逆に言えば、「利益とか価値創造に貢献する人材でないと世間一般で評価されない」ということでもあるのかと思います。

 

 

本日、慶応MCCの夕学講演会で、花田先生と石山先生による「人から始める組織の成長」という講演を聞きました。私が思うに今回の講演の底流に流れるテーマは、「人材育成の原点をどこに置くか」ということだったと感じています。

人的資本経営の視点からすれば、「人材育成」はすべて会社の利益に繋がるべきもので、利益という成果が出て初めて意味があるものとなります。けれども、「人材育成」というものは、企業体にとって本当に利益を生み出すツールだけであると考えてよいのかどうか、この講演を聞いて複雑な思いを持ちました。

 

かくいう私も、企業は利益を出して初めて社会的に存在が認められるものであると思います。価値あるサービスを提供するからユーザーが購入してくださるし、得られた利益の一部を納税して法人としての義務を果たすことも大切です。

けれども、その価値を生み出す社員は「モノ」ではありません。感情を持った生き物であり、色々な人生ステージの中で大切な人とともに生きるために一生懸命働き、それぞれの成長段階に応じたその人らしいキャリア開発を心掛けているのです。同じ仕事であっても、受け取る人によっては全然異なるものとなるでしょうし、取り組み方も意欲も変わるでしょう。ですから、一口に「人材育成」といっても、定型手法で利益創造に直結するマシンを育てるようになどできないのです。でもその一方で、各自個別の事情をすべて会社が聞き入れ、社員の人数分だけの人事制度や育成手法を作ることも現実的には不可能でしょう。

 

職業能力開発促進法によれば、職業能力の開発設計、またそのための能力開発の促進は、会社ではなく個人の責任です。最近はそのサポートのために、国はキャリアコンサルタントを養成し、国民一人一人のキャリア上での自律を促してきています。

それゆえ、最低限のエンプロイアビリティは個人が責任をもって自分で高めることが必要で、企業はその意欲をもち行動を起こそうとしている社員の背中を押して、一緒に伴走をしてあげるような機能を持つことが大切なのだと私は思っています。それが「人材育成」の原点なのではないかと思うのです。

 

花田先生も講演の中で触れられていましたが、人的資本経営の要素はもちろん必要であるけれども、それと並行して人的資源の視点からの育成・支援アプローチを考えていくこと。今後の人事に求められるものは、その両輪の思考なのだと思います。

 

最後までお読みいただきどうもありがとうございました。

2024.5.11 #339

 

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