皆さんこんにちは。

本日は、「『私は忘れない』を読んで」というテーマで書き留めたいと思います。

 

同書は有吉佐和子さんが著した小説で、50年以上も前に出版されたものです。

半世紀前のことになりますので、現在の社会環境と比べると産業や科学の進歩の状況も大きく異なります。それゆえこの小説に表されている描写を自分の頭で現代版と比較することも難しいのですが、私なりに解釈すれば、都会的な目覚ましい経済成長の陰に、その世界から切り離された僻地の孤島に生活する人々の苦労と、その代わりに共同体生活ゆえに結びつけられた温かい人間的コミュニティの姿を、コントラスト豊かに描いている小説だと思いました。

 

 

そういう社会の断面を描いていると同時に、もう一つ印象に残ったのは、僻地孤島でその負の連鎖を少しでも改善しようと頑張っている教育者の姿でした。

いくらインフラが整備されても、自ら学び考え、環境変化に対応しながら新しい価値を作っていくのは、人間の知恵と志だと私は思います。そしてその知恵と志を持てるようにするためには、「教育」が必要なのだと思います。

 

『サンダカン八番娼館』という山崎朋子さんの描いた小説がありますが、これは貧困がゆえに海外に出稼ぎに出る天草の女性たち「からゆきさん」の実話を描いています。同書でも、中央から分断された辺境で生きる生き様がどれだけ大変だったか、その姿を通して、貧困という課題に行政や政治がどのように取り組んでいったらよいのか、今でも私たちに問うていることなのだと思います。

 

SDGsでは、「貧困をなくす」「飢餓をなくす」「質の高い教育をみんなに」と掲げられています。日本国は、総人口の減少、特に生産年齢人口が減少していて、今後は益々「効率化」の名目のもと、中央と地方の格差が広がっていく傾向になるでしょう。「効率化」で弱肉強食の世界を加速させるのか、それとも『私は忘れない』の中に出てくる黒島の共同体的なコミュニティ運営を取り戻そうとするのか、日本社会だけでなく各々の私企業でも、今後は運営ポリシーが更に問われていくのではないでしょうか。

 

先日、ある大学のイベントにネットで申し込みをしたのですが、そのオペレーションが不十分で結局希望するイベントには参加できませんでした。確認をしたところ、異なる画面でも重ねて予約をしなければならなかったことがわかりました。

インターネットを使えば、運営側は手間を削減して、効率的な運営ができることは、私も産業界の端くれにおりますのでよく承知しています。けれども、教育に携わる機関は、少なくても効率だけではない人間としての忘れてはならないことを、体を張って伝えていく使命があるのではないかと私は思うのです。

 

国防は、狭義では他国からの武力による侵攻に対抗することですが、それだけではなく国民の知力の維持向上のための教育、また国民の身体の健康を維持する医療も国防の一つだと思います。そのための資金が足りなければ、国民が全員で追加コストを負担することは必要だし、その任務を進んで取り組んでくださる方々へのリスペクトも必要だと思います。

 

そのような目に見えないけれども大切なことを「忘れない」で歩みたいと思います。

 

最後までお読みくださりありがとうございました。

2024.3.23 #332

 

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