皆さんこんにちは

本日は「効率化の落とし穴」というテーマで書き留めたいと思います。

 

「生産性の向上」という言葉をいたるところで耳にします。国のGDPでは日本は世界第3位(最近の報道によればドイツに抜かされて世界4位になったとも)であるにもかかわらず、一人当たりのGDPでいえば世界第31位(2022年)で、このデータは日本の生産性の低さを物語っています。

またそれはIT技術の浸透が遅れていることも要因の一つとされていて、コロナ感染の初期に社会経済がストップした際には、様々な社会政策が混乱したことも記憶に新しいところです。

 

それでは、なんでもデジタル化を行い、だれもが機械のパーツのように働くことが本当の意味での「効率化の成功」といえるのでしょうか。

 

 

この問いに対しては、賛否があるかと私は思います。

基本的に営利企業の存続目的から考えれば、効率化の推進は至上命題であり、仕事の属人化を避けて共有化・平準化し、定型業務はなるべくIT化することが大切です。そのための適切な人員配置もし検討しなければなりません。定型業務しかできない(=定型業務以外の仕事を自らチャレンジしない)社員は、今後は雇用の継続すら危うくなるでしょう。効率化を成功させなければ、企業は差別化できないし生き残れないと思います。

 

但し私は、この流れには一門の疑問を持っています。

人間は感情の生き物であり、機械ではありません。新たなチャレンジをしようとすれば、当然失敗もつきもので、その際にただ画面上で「fails」とだけ表示されて次に進むことができないようなやり方をしてしまえば、モチベーションも低下しますね。

「感情労働」という言葉がありますが、労働の多くは感情に支配されていると思います。他者の思いをないがしろにしても、定められたことさえ行えば組織の成果が発揮されるというのは、その種の仕事で利益を得ている者の一種の都合の良い幻想ではないでしょうか。

 

この季節ですので年賀状の準備も始まりますが、効率化の論理からすれば、企業同士の年賀状は廃止することが正しいのかもしれません。

でも、企業と企業が年賀状を交換し合うわけではなく、企業の中にいる人間が、他社で懇意にしている人間に対して「昨年同様に本年もお付き合いをよろしくお願いします」と気持ちを発するのが年賀状なのだと私は思っていますので、効率化の題材になること自体が個人的には不思議でなりません。

 

総論では効率化は賛成です。

けれども、失ってはいけない人間と人間の情動の部分まで削ることが正しい効率化なのだろうか・・・。周囲の風景を見ていて感じることです。

 

最後までお読みくださりありがとうございました。

2023.10.28 #312

 

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