皆さんこんにちは。

本日は、「従業員エンゲージメントについて」をテーマに書き留めたいと思います。

 

守島基博先生の『全員戦力化』という書籍を読みました。

その中で「従業員エンゲージメントは企業業績に大きな影響を与える」という内容が記載されていました。

従業員エンゲージメントとは、「社員が働く場面にある諸対象(会社全体、上司、仕事など)に、どれだけ強い関与や思い入れを持っているかの指標」のことを言います。今流にいえば、社員がどれだけ会社にコミットしているか、ということでしょう。

 

有名な調査会社であるギャラップ社の調査によれば、日本は世界各国と比べてエンゲージしている社員の比率は非常に低く、6%しかいない、とのことです。(米国・カナダではエンゲージメント社員の比率は31%、ラテンアメリカでは27%、東南アジアでは19%)

日本人は仕事熱心ではあるけれども、組織や仕事に対する愛着が非常に少ない様子が見て取れます。

 

ご存知のように、最近、「人的資本経営」が注目を浴びています。人材をコストではなく資本と捉え、いかに効率よく投資し回収するかという視点から、標題の従業員エンゲージメントが重要な非財務情報の経営指標となってきているのですが、ギャラップ社の数字をそのまま使えば、日本は人材を活性化できていない国のNo.1になってしまいます。

 

でもこの数値を、そのまま日本人の不熱心さと捉えてしまっては誤りだと思います。この数値の背景には、給与・退職金システムにしてもポスト処遇にしても、「長期雇用が前提」という日本の雇用慣行が大きく影響していると思われるからです。すなわち、「与えられた役割を果たすための種々の挑戦が歓迎されておらず、自分の順番が来るまで我慢するのが美徳」といった企業文化が根底にあるので、「自分で仕事を選択できない感」がエンゲージメント率を下げているのです。また、「敗者復活戦」が稀であることも影響しているでしょう。

 

 

企業活力というのはどこに差が出てくるのでしょうか。

各国の教育のあり方にまでここでは言及いたしませんが、通常に義務教育を受け、中等教育もほぼ国民の多くが履修するという前提であれば、その差が生じるのは、従業員エンゲージメントの部分に大きく依るものだと私は思います。この目に見えない伸びしろの部分が、企業活力を押し上げることになるのではないでしょうか。

 

ですから現在、マネジメントが非常に問われているのです。マネージャーは仕事の管理に加えて「働く人間のココロを掴む」ことによって、この伸びしろをいかに大きくしていくか、それが本来の仕事になると思いますし、そういう組織づくりを行うことが経営者の仕事になります。

マネージャーがプレイヤーを兼務するのは、本来的には無理があるのです。マネージャーが実務をしなければいけない人員配分であるなら、人件費が増加してもプレイヤーを増やすべきだし、部下のココロを見ようとしない(見ることのできない)マネージャーは、プレイヤー型の役割に戻るほうが会社個人双方にとって好ましいのではないかと思います。

 

企業文化は中々すぐには変わるものではありませんが、加点主義へのシフトを運用に組み込みつつ、マネージャーの要件を人間軸にシフトしていくことが、エンゲージメントを高める要諦ではないかと思っています。

 

最後までお読みくださりありがとうございました。

2023.5.14 #288

 

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