皆さんこんにちは。

本日は、「幸せの定義」について書き留めたいと思います。

 

アンデシュ・ハンセンの『ストレス脳』を読みました。

生物の進化は相当長い時間軸で考えなければならないもので、私たち人間の脳を考えたときに、コンピュータや電化製品に囲まれた生活ではなく、今でも狩猟民族としてサバンナの中で集団生活をし、環境に適応しながら外敵(獲物)と戦い生き延びていく生活が前提となっている、ということを同書では言っています。

 

つまり、集団生活から外されて孤独になること、また感染症に罹患することは死を意味する生活だったのです。

そう考えると、ストレスを受けてうつになる、というのはある意味正常な生体の防衛反応です。ストレスを感染症などの外界からの攻撃と同様に脳が判断をすれば、自分の身体を守るために「閉じこもる」のは自然な反応といえるわけです。なぜなら生物は、本能的に「生き延びる」ことが使命であり、「幸せ」であるかどうかは二の次であるからです。

 

但し、人間には「感情」という機能があり、その感情が様々な行動のエネルギー源になります。そして、感情を駆使して自分が考える「幸せ」を追求しようとします。

ですから、「生き延びる」ことと「幸せ」であることが背反せずに融合できるときに、人間はそもそもの生物体としての安心を得られるものであると、進化論的には考えられるのです。

 

 

同書の中でアンデシュは、幸せについて次のように書いています。

 

私にとって幸せは、終わりの無い享楽を追い求めることでも、不快と名のつくものを最小限に減らすことでもない。(中略) 私が聞いたことのある中で最も建設的な幸せの定義は、「ポジティブな体験」と「自分自身に対する深い洞察」の組み合わせだ。自分は何が得意で、それをどんなふうに自分そして他人のために使えるのかを理解すること。そうすることで自分の外側に広がっているものの一部になれるからだ。多くの人が「なるほどこれが幸せか」と感じるのは、ゴールに到達したときではなく、自分自身の外側に広がっている何かに一歩一歩近づいている時だ。そこに「幸せ」を見つけるのだ。

 

自分のタレント(与えられた才能や特性)を自分や他者のために使うこと・・・それが幸せに繋がると私たちが本能的に感じるのは、自然から与えられた試練を乗り越えてきた私たちの祖先が、「生存のために協力しあうこと」を長い間大切にしてきたからなのでしょう。

人間が地球上でもっとも優勢な動物になったのは、強かったからでも速かったからでもなく、協力しあうことが一番得意だったからだと考えれば、納得がいく話です。

 

ここ200年ほどの工業化の歴史、そしてここ数十年のデジタル化の歴史の中に私たちは生活していますし、その影響を大きく受けています。生きる上では、「幸せ」もその短い歴史の中で評価し追求していくことも必要でしょう。ただ本質的な「幸せ」は、どうやら1万年以上前のサバンナ生活の中から作られてきたDNAを考えなければ、たどり着けないものなのかもしれません。

 

最後までお読みくださりありがとうございました。

2022.10.8 #258

 

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