皆さんこんにちは。

本日は前回に引き続き、中根千枝さん著作の『タテ社会の人間関係』を読んで考えたことの続編としたいと思います。

 

日本のタテ社会文化の特徴の2番目は、「トップは必ずしも能力で決まるわけではなく、部下の影響力が強い」ということです。

 

組織は一般的に、「トップダウン型」と「ボトムアップ型」の2種類があります。即ち、指示命令系統が明確で、組織のトップがその組織内の業務を細かく掌握し、戦略的にも実務的にも部下を指導できるような環境にある場合には、トップダウン型が有効に働きます。

しかしながら、日本の組織は上記のようにきれいに機能別になっていない会社が普通なのではないでしょうか。また処遇も、職務に直接リンクするよりは、その人の職能グレードや包括的な役割にリンクする制度を採用している会社が多いと思われます。

 

そうであれば、必然的に上司は全てを自分で決めて指示・実行するというよりは、下位者からの提案や進言などを受け入れながら、総合的に判断していくようなボトムアップ型の組織になるのが通常であると思います。当然に上に立つ人間は、調整型のヒューマンスキルに長けたバランスの良い人間になりますが、実質的な意思決定は必ずしも上位者が行うわけではないのです。

 

 

ボトムアップ型は、利点も欠点もあります。

利点は、組織構成員が各々の役割の中で、プロ意識や主役感を持ち仕事に携われることです。「上司だってすべてを経験して把握できているわけではないから、自分が主で携わっている分野については上司を助けて自分が主導しなければ・・・」というお互いの信頼関係を通して良い循環になる面です。

 

ただし欠点としては、そこに責任の曖昧さが出てしまうことだと思います。

組織の中には権利先行型の人間もいます。自分でやりたい事をやっておきながら、物事がうまくいかないと最終的には「上位者が承認したので自分はやったまでだ。そもそもそのリスクに気が付けなかった上司が間抜けなのだ。」というスタンスで責任回避をするようなパターンです。銀行を舞台にしたドラマでもそのようなケースは有名にもなりましたね。

その部分は、最終的には人間性の問題だと私には思えるのですけど・・・。

 

ソニーを復活させた平井一夫さんという経営者がおられます。

平井さんは、リーダーの一番大切な条件は、IQよりもEQであると言っておられます。EQとは、心の知能指数、すなわち人間力のこと。困難な状況でも逃げずに、部下を支援し、自責の心得をもって任に当たれる人が「EQの高い人」といえます。

EQの高い人間集団であれば、トップダウンよりもボトムアップ的要素を大きく入れた組織の方が成果に繋がりやすいと私は確信しています。

仕事の成果は、最終的には生身の人間の成熟次第であるのではないでしょうか。

 

最後までお読みくださりありがとうございました。

2022.6.4 #240

 

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