皆さんこんにちは。

本日は、中根千枝さん著作の『タテ社会の人間関係』を読んで考えたことを書き留めたいと思います。

 

中根千枝さんは、昨年の10月にご逝去されました。1967年に発刊された同書はベストセラーとなり、名作古典といわれています。

日本のタテ社会文化の特徴を色々な角度から書かれています。

 

 

   1.序列意識が強く、基本的に企業とか特定の組織単位で物事が考えられること

     が多い。

   2.トップは必ずしも能力で決まるわけではなく、部下の影響力が強い。

   3.組織内においてもタテの関係が重視されているため、ヨコの関係を必要とする

     組織内調整には多大な時間がかかる。その一方で、タテのラインでの伝達や

     アクションのスピードは速い。

   

1について。

日本の場合は、序列意識は非常に強いものだと私も思います。自社に限らず、役所の例を考えても同様なことが見えてきます。組織内に序列を作ることにより、一面では上昇志向を促進させモチベーションを向上させる良さもあるかと思いますが、成長が見込まれない国家となった今、そのインフレ思考が今後の若年世代にも同様に通じるのか否かは、今後のマネジメントはよく考えていかなければならないと思います。

 

また、「ウチの会社は・・・」という一種の家意識が強いのも日本の特徴かと思います。

米国人の友人と話しているときの話ですが、「なぜあなたの会社は売却しないの? まぜ上場しないの?」と不思議がっていました。

彼らの思考では、成長企業であれば、他の企業に積極的に買収されることで更なる良い条件も実現できるし、屋号が変わることなどはあまり問題ではないのです。また、上場することにより、パイオニアとして株式を持っている創業時や現職メンバーが株式利益を売ることは当然のことである、と考えるようです。

 

でも、その友人のようには割り切って考えることは、そんな簡単なことでもありません。私も日本文化を背負ってきた古い人間ですので、いくら一部の人間が良い条件になるとしても、「会社の屋号が変わる」ということを簡単には考えられないし、社員としての株式所有は一種の忠誠の証でもあるため、それによって利益を得ようという思考には程遠い。

 

では「ヨコ型」の組織というのはどういう特徴があるのか・・・。

中根さん曰く、ヨコ型組織は、企業や特定組織の枠を超えたもので、資格とか業種とかでくくられる組織のこと、と定義されます。ゆえにいくら年齢が離れていても、その組織に一定の資格を得て新たに参加したらメンバー同士は基本的に対等であり、その組織のルールに定めてある役割をお互いが遂行する、という役割主義で成立する、としています。日本でいう「先輩・後輩的な序列」というものは、どうやら彼らには薄い感覚のようです。

超大会社は別として、労働組合が企業内ではなく産業別に組織されるのもうなずけます。

 

また、インドはカースト制度が色濃く残っていることで有名ですが、階層ごとのガラスの天井があるので、社会的に低い階層に生まれた人間は不幸なのか、というと、必ずしもそうではない、とのことを中根さんは言っておられます。逆に、そのカーストの階層の中で生きていくことが、求められていることであり自然である、という思考なのだそうです。これも横型社会の一断面かと思います。

 

次回は、2.以降の特徴についてお話ししたいと思います。

 

最後までお読みくださりありがとうございました。

2022.5.28 #239

 

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