皆さんこんにちは。

本日は、「ヒトの認知と情動の関係」をテーマに書き留めたいと思います。

 

ヒトは刺激を受けると、その刺激=情報を他の記憶や経験と結び合わせて、判断、解釈します。これを「認知」というのですが、認知だけでは「行動」には直結しません。認知をすると同時に、その刺激=情報が自分にとって快なのか不快なのか、好きか嫌いかを古い脳(大脳辺縁系)で判断しなければ、行動には表れないのです。

 

1848年に英国で、鉄道工事中の爆発事故で、フィニアス・ゲイジという青年が鉄棒で脳が貫通されてしまうということが起こりました。一命を取りとめ奇跡的に回復するのですが、事故後のゲイジは、事故前の本人と人が変わったようになってしまい、社会生活に適応できずに、晩年は辛い人生を送ることとなったようです。

認知は、前頭葉で行われる高次な精神機能です。この前頭葉の働きがあるので、ヒトは他の動物と比べて、言語を使い、概念化したり、因果推論を行ったり、他者の感情を考えたりすることができるのですが、それを最終的に「良いこと」「すべきこと」として結論を出して行動に移すかどうかは、前頭葉で考えたことが大脳辺縁系に伝わることが必要です。「~しよう」と決断するのは、自分にとっての「~したい」という欲求が必要だからです。ゲイジは事故により、この前頭葉と大脳辺縁系とのパイプが損傷してしまった故に、社会生活への適応が難しくなってしまったのです。

 

 

ヒトは、自分の個体がいずれは終わることを知っていて、認知と情動とを結びつけながら、最終的には自分の生きた人生の意味づけを行おうとします。認知機能だけでいえば、AIが人間にとって代わるという時代がくると言われていますが、AIは人間の脳の一部の進化版でしかなく、AI自ら自分の存在の意味付けなどできるわけがありません。そもそもAIが人間を超えることなど、そう考える方が滑稽です。

 

認知機能を上手く使うかどうかで、現代社会における成果は大きく変わるわけですけど、その認知を上手くいかすかどうかが「情動」の制御によるとすれば、組織でリーダーシップを発揮する上で大切なのは、他者の情動に敏感になり、動機付けの個人的な差異を把握することであると思いました。

 

自分自身に素直になって、自分の情動を研ぎ澄ますことも大切なのでしょうね。

 

最後までお読みくださり、ありがとうございました。

2021.7.17 #193