皆さんこんにちは。
本日は、「グスコーブドリの伝記」について、考えたことを書き留めたいと思います。
この小説はご存知の通り、宮沢賢治の作品です。
東北の厳しい自然環境の中で農業支援を考えていた作者にとっては、作物の安定的な収穫を願う気持ちが人一倍強かったと思います。
この小説の中でも、ブドリの住む町に、旱魃や冷害、火山被害が絶えず襲ってきます。ブドリは小さいときに両親に死に別れ、幼い妹ともバラバラになり、身体一つで下働きをすることになります。あることから、火山研究をしている博士と出会い、ブドリは才能を認められて技師として働くこととなり、才能を活かして働くことで町の人たちを救うこととなります。
あるとき、町を冷害が襲ってくることとなり、何としても回避したいブドリは、自分の命と引き換えに、火山を爆発させた炭酸ガスで温暖化を図ろうと考え、自ら進んでその任を引き受けたのでした。
児童用の小説なので、きわどい描写があるわけでありませんが、苦労して育ったブドリが、その分優しく他者に接していること、また他者が活きる姿こそ自分にとっての喜びである、という描写が出てきます。
現在の社会情勢は、新型ウイルスという目に見えない敵との闘いがあり、また長引く経済不況による企業間競争があります。そしてこういうネガティブ状況にあって、本来は協働しあわなければならない小さな活動単位においても、私利による我儘な言動が、残念ながら私の身の回りでも起こっています。
私たちはブドリにはなれませんが、少しでも目を開いて、協働する気持ちを共有できればと思います。
最後に私の後輩の話を一つ。
4人兄弟の一番上の姉として育った彼女は、クリスマスイブのときに、弟や妹たちを少しでも喜ばせてあげたいと思い、プレゼントすることを考えていました。当時は経済的に苦しくて、親御さんからのプレゼントは期待できなかったようです。なけなしの貯金をはたいて3人分のプレゼントを買い、イブの晩にそっと枕元に置いておいたようです。
翌朝になって、プレゼントを見てとても喜ぶ弟や妹たちを見て、彼女はとてもうれしかったそうです。「一番大切なプレゼントをもらったのは、きっと私なんだ!」 そう思ったそうです。
最後までお読みくださり、どうもありがとうございました。
2020.3.8 #057