皆さんこんにちは。本日は、「労働力不足がもたらす影響」というテーマで書き留めたいと思います。

 

先日、社会人向けゼミナールで標記テーマが提起されました。リクルートワークスの労働力需給シュミレーションによれば、2040年には、6,867万人の働き手が必要となるのに対し、実際の労働力としては5,767万人しか提供ができないので、1,100万人の労働力不足となるそうです。つまり日本全体で、16%の労働力不足が起きるということです。

 

企業でも人手不足が叫ばれて久しいし、大企業でも採用に苦戦していると聞いています。すでに新卒市場はレッドオーシャン化していて、採用のトレンドは新卒から中途へと変化してきています。

でも、この労働力不足現象は、単に各企業の採用手法を変えるだけでは到底解決しない日本国としての危機が内包されていることに、私たちは思いを寄せていかなければなりません。

 

 

このままこの現象を放置しておくと、まずは商用・個人に限らずにドライバー不足の影響で物流が停滞することが想定されます。今まで翌日に届いていた荷物は、翌々日かそれ以降となってしまうわけです。すでに日本郵便は、通常郵便物の遅配を行い、さらにその配達に関わるコストも上げることを表明していますね。

また介護現場も人手不足の影響で、従来の頻度ではサービスを提供することができなくなり、家族の負担が今よりも増えることになりそうです。

建築や工事・メンテナンス関連での労働力不足はさらに拍車がかかり、社会インフラが維持できなくなることも想定されます。たとえば地方部の道路は、トラブルがあっても補修されない状態が続くとか、鉄道の保守員不足により運行が滞るなど。

医療スタッフも不足が予想され、病院に行って診察を受け、処方薬をもらって帰るまでに半日以上かかるとか、救急車を呼んでもなかなか来ない、そして受け入れ病院が見つからないなどの現象も起きるかもしれません。

要するに、安心して仕事ができない状態に社会全体が陥ってしまうわけです。

 

ではこのような状態をどのように回避し対応していったらよいのでしょうか。

 

リクルートワークスの古屋研究員は、まずは徹底的な機械化・自動化を推進することを提唱しています。特に人関連のサービスでは違和感が生じるかもしれませんが、日本の生き残りのためには、サービス形態の変化も我々は受け入れていかなければなりません。

また、国も私企業も、右肩上がりを前提にしていた様々な制度や運用を、ゼロベースで見直すことが必要になってきます。働き方にしても、男子中心の非限定社員を前提とした労務管理がすでに通用しなくなってきていることを、企業の経営者は認めなければならないのだと思います。ジェンダー、年齢、国籍に関わらず、仕事のユニットごとに細かい労働力の積み上げによる成果を出せるような労務管理に変えていかなければなりません。

 

企業戦士がもてはやされたような企業間競争のシーンは、すでに過去のもの。業界によってはコンペであっても協力しあえる部分は協力して、無駄な社会的消耗は避けていく英断も必要になっていくでしょう。社内での忖度のはびこり、また派閥争いなんてものは、社会悪として排除されていくべきものかと思います。

 

でも私自身は、そういう厳しい状況にある中でも、政治が賢明な富や財の分配を行うとともに、そんな状況でも国民が様々なチャレンジを続けられるような制度設計をして欲しいと希望しています。また企業単位においても、権力構造に伴う分配や処遇に偏りすぎずに、社員一人一人の可能性を伸ばせるような場を提供できる支援体制を作っていくことが大切なのではないかと思っています。

 

微力ではありますが、そういう社会、企業になるために奉職したいと思っています。

 

最後までお読みくださりありがとうございました。

2024.9.1 #354

 

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皆さんこんにちは。

本日は、「失う事の怖さから離れるために」というテーマで書き留めたいと思います。

 

私事ですが、本日はある大学院の入学試験を受けてきました。社会人向けの大学院ですので、広い受験会場の中には私と同様な年齢の方々が多かったのですが、ほとんどの方が試験開始のアナウンスがあるまで、参考書や自分の取りまとめたノートを一生懸命見ていました。

 

私はこの光景を見て、ある意味とても嬉しくなりました。

社会人というと、「売ってなんぼ、儲けてなんぼ。その図式から離れるような学びなんて意味がない。」という人間がほとんどだと思っていました。私の身近な世界も同様です。でもそれが大人の証であると、あえて定義することが必要で、その枠の中に生きようと私も一生懸命努力してきました。

でも、人間の社会はすべてが実用的な世界だけで出来上がっているわけではありません。仕事の業績は目に見える数字であるかもしれませんが、その過程は色々な思いや意思が錯綜していて、そういう目に見えない世界にこそ、本来は目を向けないと大切なものを見失ってしまうのではないか・・・いつしか私はそのように感じ始めました。

 

受験勉強自体が目に見えない世界を炙り出すわけでは無いですが、自分自身の実践ではなく、一般理論や先輩方の知恵を通じて学べることも私は多いと思っています。すなわち、今までの実践で得てきたスキーマが、今後も同様に企業内や社会に通じるのか・・・そういう賢明な恐れを持つことが大切で、机上であっても理論や先達の知恵を学ぶことで自分の凝り固まったスキーマを柔軟にしていくことがとても大事なことなのではと思うのです。

 

 

私が受験した大学院の教育方針も同様で、HPには「複合的な視点から人間を捉え,柔軟かつ適切な援助・支援を研究・設計して社会的ニーズに対応できる高度専門職業人を養成する。」と記載されており、実践を通して得た経験を、少し立ち止まって幅広い学問のフィルターを通して見直すことにより、更に広い視野で現実対応ができるようなトランジションの起点になることを謳っています。

 

菊澤研宗さんの『組織の不条理』という書籍の中に、第二次世界大戦の日本軍の失敗の変遷が書かれていますが、敗戦に至る決定的なことの一つに、日本軍が過去の事象を大所高所から見直し、自分たちが大切にしてコストをかけて作り上げてきた手法が将来に対しても有用なのかどうか、学ぶ謙虚さを持っていなかったことが記載されています。もっと言えば、学ぶことを無視していたというよりも、正しいことを得ていくために、構成員が思いを言い合える組織であったかどうか、人間としての学びがどれくらい許容されていたかどうか、その点が問われるところだったのではないかと思うのです。

 

現代においても、組織メンバーとしては、権威あるものに異論を述べることは大変勇気のあることですし、ある意味では失うことを覚悟しなければならないこともあるでしょう。でもその恐れを常に抱えたままであるなら、何のために自分は与えられたのかと、それすら疑問に陥ってしまうでしょう。

 

真実を知り、自分が与えられた意味を全うするよう生きるために、常に学び続けることが大切だと改めて思いました。

 

最後までお読みくださりありがとうございました。

2024.8.24 #353

 

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皆さんこんにちは。

本日は、「生の可能性」というテーマで書き留めたいと思います。

 

友人の薦めで、『しあわせの哲学』(西研著)という本を読みました。

その中に「生の可能性」という言葉が出てきます

 

デンマークの哲学者であったキルケゴールは、自著に以下のように記しています。

 

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気絶した人があると、水だ、オードコロンだ、ホフマン滴剤だ、と叫ばれる。しかし、絶望しかけた人があったら、可能性を持ってこい、可能性を持ってこい、可能性のみが唯一の救いだ、と叫ぶことが必要なのだ。

可能性を与えれば、絶望者は、息を吹き返し、彼は生き返るのである。なぜかというに、可能性なくしては、人間はいわば呼吸することができないからである。(「死に至る病」より)

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私たちは、大なり小なり、「自分はこれからこうしたいし、このようにできるはず」、という可能性をもって生きています。でもその可能性は、人生の色々な出来事によって開花する場合もあれば、違う可能性を求めるような変更を余儀なくされる場合もあるでしょう。

また、「したいこと」はすべて「出来ること」と一緒にはなりません。したいけれどもできない、というジレンマに陥ることも多くあります。

ですから、可能性を追い求めると言っても、そんな簡単な道のりではないことも私たちは体験してきていますが、それでもキルケゴールの言う通り、将来に対する可能性を感じなければ、その人らしい人生を歩めないというのも真実なのではないでしょうか。

 

人間とチンパンジーの遺伝子はほとんど一緒で、違いはわずか1.2%程度だと言われています。古い脳に司られている情緒面でも、チンパンジーは人間と同様にうれしさや悲しさを感じるそうです。でも人間とチンパンジーとの決定的な差は、人間は「言語」を持っていることであり、その言語によって、過去に生きる自分、現在を生きる自分、そして将来を生きる自分を描くことができるのだそうです。

逆にチンパンジーは、今を生きていて将来のことを考えない。考えないから、「可能性」があろうとなかろうと悲嘆もしなければ幸せの予感も感じないのです。

 

人間は、「生の可能性」を信じ、過去から現在を通して未来の自分を現す「物語」を作ります。その物語を自分色で染めて、可能性の花を楽しみながら咲かせていくことができます。そういう自分らしい物語をこれからも作っていきたいと思います。

 

最後までお読みくださりありがとうございました。

2024.8.17 #352

 

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皆さんこんにちは。

本日は、「グレーに耐える胆力」というテーマで書き留めたいと思います。

 

自動思考というものがあります。この自動思考とは、その人が持っている考え方の癖で、ある物事とか外界からの刺激があった際に、即座に感じる自然な傾向のことを言います。

そしてその自動思考性が強く、一度自分の思考が定まったら、その思考に当てはまらない思考は排除してしまう傾向が強いことを、白黒思考といいます。

つまり、白か黒かはっきりしていないと気が済まないし、白と考えたら黒は絶対に受け付けない、というスタンスのことです。

 

私は元来、この白黒思考性が非常に強く、それがゆえに他者との協調がうまくいかない場合があります。特に相手も白黒思考の強いタイプの場合には、白黒が逆になったりすると収拾がつかなくなってしまうこともあります。

 

最近もそのような場面が多くあり、自分に対しても反省するところが多いのですが、白でも黒でもない「グレー」の状態にしておくコツは無いのだろうか、と考えたりもしていました。

 

 

政治の世界でも「玉虫色の決着」などという言葉があるように、曖昧な状態というのは、必ずしも良くないこともあります。

 

菊澤研宗先生の『組織の不条理』という書籍がありますが、その書籍の中に、第二次世界大戦のインパール作戦についての解説があります。戦況の旗色が悪くなってきた日本が、インパール作戦を実行するか否か、当時の幹部(大本営)は実行するともしないともわからないような非常に曖昧な指示を出した、とのこと。その曖昧な指示を出した背景には、作戦遂行の強硬派と中止を求める懐疑派がいて、どちらにも合理性があったので意思統一が出来なかったことが原因だったと菊澤先生は述べておられます。作戦遂行の結果は、史実が明らかにしている通りなのですが。

 

ですから曖昧な状態というのは、決して好ましくないことも多いのですが、個人視点に立ってみると、すべてを白黒明確にするような世界に生きることは出来ないので、やはりグレーの状態を受け入れる術を身に付けなければならないのかと思います。

 

色々と考えてみたのですが、一つは「シンプルに考えること」かと思っています。

白黒思考は一見するとシンプルなように見えますが、判断しなければならない要素が多ければ多いほど人間は迷うものです。迷うし、その背後にある他者の色々な意向を考えてしまうから、白黒はっきりさせないと前に進めない、という強迫観念も生まれやすくなるのかと。

「シンプルに」というのは、自分の価値観や好みをもう少し全面に出して、その感性を軸に考えてみることが必要なのではないかということです。

 

もう一つは「未来志向」。

今を考えるから判断が重たくなるのであって、未来に自分がどんなことをしたいか、どんな状態でありたいかを中心に考えれば、現在がグレーであってもそういうカオスを棚上げしやすくなると思います。

 

「シンプルに」そして「未来視点」で物事を考えれば、自分が現在執着すべきことも変わって見えてくるように思います。

 

夏季休暇を迎えていますが、現在や周囲に囚われずに、上からのミッションを意識して学びを続けたいと思います。

 

最後までお読みくださりありがとうございました。

2024.8.10 #351

 

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皆さんこんにちは。

本日は「リーダーの本懐」というテーマで書き留めたいと思います。

 

ある本を読んでいて、共感する内容が書かれていました。

世間一般の視点でいえば、組織における「役職者」は、偉い人というイメージがあると思います。それなりの努力をして、また選ばれて組織の中でプロモーションをしてきた人たちですから、そういう面はあるかと思います。

 

但し、役職者自身が偉いわけでは無く、責任を果たすためにその役職に付随した権限を与えられているだけであり、役職を降りれば(会社を辞めれば)ただの人と何ら変わりはないのですけど、それを勘違いしている人間が結構多いのではないでしょうか。

 

最近は、北海道の政治家の問題もありました。このケースも、自分の役職が自分自身を偉い人であると勘違いした典型的な例ではありましたが、民間企業であっても、テレビドラマのように政策決定権限や人事権がさも自分の力で実現できると思ってしまう人もいるようです。

 

人間の思考は多様であり、必ずしも一人の権限者が判断することが正しい決定とは限らない。だから民主主義というのは、選挙で死票がたくさん生まれ、妥協や調整に酷く時間がかかる愚かしい面はあっても、市井の人間の声が全く無視される独裁政治よりは好ましいと言われているわけです。

ですから組織リーダーは、自組織をイエスマンで固めてしまうのではなく、自分と異なる意見を持ちながらも、組織のことを考える反骨のある人間をしっかり生かしておく懐の大きさが必要になると私は思うのです。

 

 

組織は、短期間に結果を数字で出すだけであれば、一般的な経営とビジネス知識をもっているそこそこの人間であれば可能かと思います。一番大切なのは、組織やそのメンバーが、どのようにしてその結果を生み出したか、というプロセスであり、そのリーダーのもとで働けて良かったと思える精神的な納得感であるのではないでしょうか。そして、それこそリーダーの本懐なのではないでしょうか。

 

上記のようなことをリーダー素養の無い私が言っても机上論にはなってしまうのですが、自分自身は、たとえ不器用であっても、また不適応な人間であると思われても、自分の良心に恥じぬよう、リーダーの本懐を忘れずに歩みたいと思っています。

 

例えば、大学における経営とは、有名企業への就職率を向上させることにより受験生を増やし、偏差値を上げることが目標になるのかもしれません。でも、その有名企業への就職率となる母数(分母)には、もしかしたら様々事情で学校への不適応となって去っていった学生は含まれていないのだとすれば、大学の姿勢としていかがなものかと・・・。

 

経営やリーダーに、経験だけではなく、また偏差値的な能力だけでもなく、哲学が必要だと言われる理由がそこにあるのかと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

2024.8.3 #350

 

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