彼の名前は月宮 透[ つきみや とおる ]。
言わなくても分かると思うけど男性。
歳は18歳で、血液はAB型。
という所まで話してもらった所。

「…何て呼べば良い、ですか。」
『あのさ、もう会うかも分からない奴を何て呼ぼうが、それは君次第だろ。』

僕は彼の事について聞きたい事は沢山ある。
だけど、彼は僕に何一つ聞かない。

『何。』
「答えてばっかはきつい、と思うので…質問しても、構いません…。」
『きつくないので続けてどーぞ。』

僕は勘違いしそうになった。
優しいなとか気を遣ってくれてるだとか。

「じゃあ、遠慮なく…何で透けて無い、のですか。」
『そういう仕様何じゃ無いかな。』
「幽霊だってどうやって確認したの、ですか。」
『2回目落ちた時、人の上に落ちた。』
「その人は…?」
『振り向いただけで何も無い。』

もしかしてなんて、また希望を持とうとした。
一つはそんな経験をして欲しくなくて止めたって。
もう一つは生きていて欲しいと僕に望んでいるって。
他人、それもたかが一人に思う事ではないとまた心に詰めた。

『帰らないの。』
「え…?」
『変な事聞いたかな。』
「いや…変じゃない、です。」

それからは沈黙、しばしの沈黙。
何ですぐ答えなかったのか、自分でも分からない。
そのせいで彼は困っている、困らせる僕は。

「要らない、から。」
『家にって事かな。』
「にも、です。」

この世界を例え捨てられたとしても、彼と同じ様になってしまったら同じだ。
彼と同じ世界なら、また僕は繰り返して意味がない。

『そう。』
「そう、です。」

彼と背中合わせしていると一人を確認してしまう。
悪い訳が無い、良い理由も無い。
ただ、存在しているだけの、普通の人って感じがするだけ。

『やめるの。』
「どうなの、でしょう…。」
『諦めるの。』
「分からない、です…。」
『一人は寂しいよね。』
「それは月宮、さんの…気持ち?」

振り向いて目を見ようかと頭の中で妄想した。
だけど、助けてくれた時の表情が怖くて実行出来ない。

『君はそう思ったの。』
「はい、月宮さんの気持ちを憶測して、みました。」

憶測で彼を図ろうとする僕は卑怯だ。
同情した様に見せかけて、一人を脱出しようなんて。
凄く卑怯だ、やっぱり僕は。

『…そう。』
「え?」
『相槌変かな。』
「いえ、大丈夫…です。」
『そう。』

要らない。