「好きにさせてよ、もう無理だよ!」
「え…。」

そんなやり取りを廊下で聞いてしまった私は
謎の罪悪感と悲観に溺れた。

「束縛も君の性格も…耐えられない!!」
「束縛なんてしてない…それに、告白して来たのは君だろ?」

バクバクと心臓が脈を打つ。
男女のやり取りなのに自分の事の様だ。

「約束だって言って縛ってくるじゃない!!」
「約束を守るのは当然だろ?」
「それに、告白されたからってずっと好きになってもらえなかったら…辛いだけだから!!」
「なっ…。」

男は黙り込んだ、声が聞こえない。

「別れて…。」
「ん。」

これで良いのか、なんて後押ししたくなる別れ。
こんな恋愛もあるのか、私はなりたくない
あの2人には悪いけどそう思った。

「……好きにさせて、か。」

まずいっ、こっち来る!

「わっ!!」

そうだった、私は靴紐を結ぶ為にしゃがんだのだった。
紐にひっかかって転ぶ。

「……っ、だ…大丈夫?」

その声は凄くかっこよかった。
いや、正確には顔がかっこいい。

「ぁ…ぅ、はいっ。」

これが彼と私の初めの会話。