身近にあるミステリー体験・3『呪いのルッキズム』 |  ライター稼業オフレコトーク

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アイドル記者を皮切りに、心霊関連、医療関連、サプリ関連、
コスメ関連、学校関連、アダルト関連、体験取材など様々な
分野の取材執筆をしてきました。
ここでは当時の面白かった話や貴重な情報、取材で思ったこと、
記事にできなかった裏話などを披露していきます。

取り憑かれた人の顔

 

 ホラー雑誌で、霊能力者と組んで読者の悩み相談を担当しているときのこと。編集部に来るのはたいてい真剣な悩みを抱えた女性たちなのだが、中には遊び感覚でやって来る人も多くいた。その中の一人にゾッとするような19歳の女子学生がいた。

 

 

 異常なほどの肌の白さが気になったが、東北の人なので珍しくはないのだろうと思っていた。だが、顔全体から醸し出される雰囲気に何となく怖さを感じた。目つきも細く吊り上がっていて、それがより一層肌の白さと相まって不気味さを感じさせていたのである。こう言ってはなんだが、白装束を着ると典型的な和風幽霊に見えるという感じだった。ただ、若い女性にこんなことは言えない。傷つけてしまうし、今ならルッキズムだと非難を受けてしまう。

 

 話し方は普通の若い女性のもので、性格も明るくポジティブ。唯一の悩みは「彼氏ができない。できてもすぐ別れてしまう」というありきたりのもの。そのせいか鑑定時間は通常の30分以上もかからず、わずか10分で終わった。私としては、どうせ冷やかし程度で来た子だし、内容もつまらなかったので記事にしづらく10分ですんで良かったと思っていた。

 

 だが、彼女が出て行ったとき、霊能力者は大きくため息をついて脱力した。すぐに私は「ひょっとしてまたか!」と思った。実は、以前にも同じようなことがあったからだ。数々の霊を見てきた霊能力者でさえ、思わず「あ~、怖かった……」と言わせてしまうほどの霊を背負ってくる相談者がいたのである。今回もか?

「今の子も何か憑いてたんですか?」

「以前に視えた子の比じゃない。凄いモノが憑いてた。いつ顔を出すんじゃないかと冷や冷やしたよ」

 私が最初に感じた怖さは本物だったのだ。人の顔についてとやかく言う気はないし、聞かされるのも気分が悪くなる。だが、直感で「怖い」と感じるものは「本物」なのかもしれない。

 

 

 相談の中で彼女は「昔は可愛かったのよ」と言っていた。最初はネタとして受け止めていたが、相談後は本当のことだったのではないかと思う。つまり、人生のどこかで取り憑かれるような目に遭い、それが顔に現れるようになったのだ。

 どこでそんなことがあったのか、彼女はまるで気づいていない。それは持ち前の明るさがそうさせているのである。例えば、軽薄な仲間たちと心霊スポットに行って取り憑かれたのかもしれない。普通ならそれを機に起こる我が身の不幸に怯えるものだが、彼女は全く気にしない性格だったのだろう。

 

 それはそれで不幸中の幸い? 知らぬが仏? いや、そうではない。明るい性格でカモフラージュされ、他人に怖さを与えているという自覚をさせておらず、それがフラれるという結果に導かれていることに気づいていないのだ。

 ルッキズムがどうのこうのとは言っていられない。途中から霊的な顔になった場合は、視える人に視てもらい対処した方がいいかも。

 

 

 深刻な悩みを抱えた相談者に見られる傾向として、顔全体を髪で隠し気味な人が多かった。一番酷い人では長い前髪で目がほとんど見えず、鼻しか出していないパターンもあった。自信がないから隠しているとか、今の流行りだからという理由もあるのだろう。しかし、霊能力者に言わせると、それは運気を下げることにつながるそうだ。悪いモノを招き寄せるし、悩みの素となっている悪運も出ていかないという。

 顔を髪で隠している人たちは、顔を表に出そう。太陽の光に浴びさせよう。それだけで運気が変わるのなら儲けものじゃないか。