昨年11月26日、札幌・ススキノのビルに入るガールズバーが爆発・炎上し、男女4人がケガをした痴情怨恨・放火殺人未遂。狙われたのは20代の女性従業員。狙ったのは41歳の男(12月19日死亡)。
似たような事件は同年2月9日にも新宿のタワマン前で起きている。51歳の男が25歳のガールズバー経営者を刺殺した事件だ。
当初は被害者がストーカーに遭った末に殺されたと言われ同情を集めていた。しかしその後、容疑者は純真なだけの真面目な男であり、被害者から金をむしり取られたあげく、返金を要求しただけなのにストーカー扱いされ通報されたことに対する恨みだったということが分かる。そのため後日どっちもどっちと言われている。
札幌も似たような事件だろう。同棲していたという報道もあることからから、男の本気度と恨みはマックスだったに違いない。
これらの事件を「いい年こいた大人の男が、小娘相手に本気になるなんて…」などと容疑者をバカにすることはできない。「哀れなオジ」と嘲笑してはいけない。似たような事象は日常どこにでもあるからだ。ただ事件が公にならないだけであり、さらに泣き寝入りする男も多いからである。
私の同僚である編集者も犯罪者になりかけたことがある。今から数十年前になるが、同僚はあるキャバ嬢に入れ込んでいた。そんなある日の夜、突然私の元に訪ねて来てこう言った。
「これからキャバ嬢が住んでる埼玉まで車を出してくれ。俺が何をするか分からないので付き合って欲しい!」
同僚とは家が近く、私が車を持っていたので、深夜近くにもかかわらずやって来たのである。
話を聞くと、そのキャバ嬢には店に200万近く使い、300万も本人に上納しているという。結婚の約束までしていたからそれだけの金を渡したのだ。だが、約束を反故にされ、自宅のある埼玉に逃げ帰ったので踏み込んでやるのだという。
よくありそうな話である。まさか、同僚がそこまで追い詰められているとは思わなかった。実際、その時の憤りぶりは半端じゃなかった。
この時は話を最後まで聞き、冷静にさせてから殴り込みを諦めさせることには成功した。もし、同僚が私を訪ねず一人で行ったらと思うと背筋が凍る。危うく知人が犯罪者になるところだったからだ。
金のためなら平気で非モテ男から貯金をだまし取る小娘。小娘と結婚できるという幻想に囚われて貯金を乱費する非モテ男。この構造は何十年経っても変わらないんだなと痛切に感じる。
今日もまたどこかで、懲りずに「いただき女子」の餌食となるオジたちがいるんだろうなぁ。
[編集後記]
同僚が私を訪ねてきたのは、近所だったからという理由ではなく、自らの暴走を私に止めてもらいたかったからではないのかと…今では思っている。