日本アニメ映画史に残る名作『千と千尋の神隠し』。そのモデルになったと言われる温泉旅館が全国に複数ある。ガイドブックの写真やネットに出ている写真はどれもまばゆいばかりに美しく魅力的。本当にそうなのかと思い、群馬県四万温泉の「積善館」と山形県銀山温泉の「能登屋旅館」を見に行ってきた。両方とも多くの観光客が旅館の前で写真を撮っており人気が衰える気配はまるでない。
だが、違和感があった。実際に肉眼で見ると感動が薄かったのだ。なぜなら我々が普段目にしている写真ほどに煌びやかではなかったからだ。確かに建造物としての形は似ている。だが、求めていた風景ではなかった。
その理由はスマホで写真を撮ってみてわかった。雑誌やネットに載っている写真はHDR機能で加工されていたからだ。
肉眼で見た実際の「積善館」はこれだ↓
だが、HDR機能を使うとこうだ↓
肉眼で見た実際の銀山温泉街はこれ↓
HDR機能を使うとこうなる↓
つまり、商業印刷物やネットで「画像の加工」がなされていないものは、ほぼないと言っても過言ではないのだ。考えてみればそれは今や常識であり当たり前なんだけどね。
だから、皆さんに伝えたいことは、加工された美しさにつられて「過度の期待をしてはいけない」ということでございます。建物の風情と温泉の泉質は素晴らしいのだから。
[編集後記]
とにかくHDR機能は人を惑わす。SMSの出会い系で加工された美女に釣られてしまう哀れな男に似ている……と言ったら酷ですか?