テレビ放映された田無神社のその後 |  ライター稼業オフレコトーク

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ここでは当時の面白かった話や貴重な情報、取材で思ったこと、
記事にできなかった裏話などを披露していきます。

お参りしたくてもできない地元民のジレンマ ~

 

 

<静かな神社が大混雑に>

・取り戻しつつあった静寂を打ち破ったゴールデン

 1/14に田無神社がどえらいことになっていると報告した。テレビ各局が五龍神を祀る隠れたパワースポットとして紹介したからだ。その勢いは予想以上で月末まで続いた。

 それまでは連日の参拝客で、いつでも好きな時に参拝ができていた地元民は混雑でなかなか行けずに困惑していたものだ。しかし、月末近くになり、平日は外からの参拝客が減ったため、やっといつもの日常が戻ったという感じだった。ところが

 

 その矢先に悲劇は起こった。130日にフジテレビの『占ってもいいですか?』のスペシャル番組で「今年最強の開運神社」として長々と取り上げられてしまったのだ。俳優山田裕貴と占い師シウマのロケ風景を全国区のゴールデンで流したものだから、翌日からよそ者がわじゃわじゃと押し寄せてきたのである。

 

 

<混雑に拍車をかけたアドバイス>

・一の鳥居で立往生

 それからの2月いっぱいは、平日休日の区別なく小さな神社は連日大パニック! さらに混雑を大きくしたのはシウマ占い師の開運アドバイスだ。

 まず、一の鳥居を〇時〇分11秒にくぐると良いと言ったものだから、そこで参拝客が11秒になるのを待って立ち止まるため、中へ入ることもままならない状態に。

 

一の鳥居。ここに人が溜まってしまった。

 

・誰もが欲しい龍神写真

 金龍神の祀られている本殿前は広いのでそんなに待たずにお参りできるが、青龍神・赤龍神・白龍神・黒龍神は一体ずつが狭い場所に離れて鎮座されている。そのため一体につき、一人一列の行列が何十メートルにわたりできているのである。

 さらに、参拝者は必ず龍神の撮影をするので、それがさらに長い行列を生み出していくという悪循環。

 せっかく遠路はるばる田無くんだりまで出てきたし、ご利益があるのならば写真を撮っておきたいというのは必然の心理。気持ちが分かるだけに「お早目にお進み下さい」なんて、パンダの見学じゃあるまいしそんな野暮なことは誰も言わない。

 

一の鳥居から本殿までの狭い参道。手前右側に赤龍神、二の鳥居の左側に白龍神有り。

 

2/12(月)でこの有り様。二の鳥居から一の鳥居を見た図。左は帰る人ではなく赤龍神への行列。右は本殿に向かう人と白龍神に並ぶ列がごっちゃに。

 

2/24(土)でここまで落ち着いてきたが、相変わらず赤龍神の行列は続く。

 

・本殿前のシャッター音

 最高の開運写真は、シウマ占い師が言うには本殿正面に彫られている鳳凰と龍、そして剣に巻き付いた龍が同時に収まるように、左右どちらかの斜めから撮るといいらしい。

 でもって、それを実行する人が後を絶たず、本殿斜め前はパシャリパシャリの大騒音。参拝者に気を遣うことなく遠慮なく撮りまくっていく。むしろ参拝者の方が邪魔をしては悪いかなと気を遣っていたほどだ。

 

鳳凰(上)と龍神(下)

剣に巻き付いた龍

 

 ちなみに下の画像は地元の知人が撮った開運写真。「11」という数字を入れて待ち受けにすると良いそうだ。(シウマ占い師による)

 

<大挙して押し寄せたことによる影響>

・地元民の困惑

 こんな大混雑が連日続くものだから、いつも好きな時間に自由にお参りしていた地元民は困惑していたのだ。毎日、午後からパートで出勤する前に立ち寄っていたという主婦は、並ぶ時間が読めないのでお参りできなくなったと悩んでいた。長年住んでいて初めての体験だという。

 

2/1(木)平日の2時。いつもなら20~30人くらいしかいない時間帯なのに。週末は正月並みの混雑になり、それは2月いっぱい続いた。

 

・地元民の戸惑い

 凄いパワースポットであることは誰もが知っていた。霊能力者や占い師はもちろんのこと多くの著名人にも知られていた。それを隠れたパワースポットとして密かに誇りにしていたのだが、一気に全国に知られることとなってしまった。有名になることが誇らしい反面、観光地にある神社ではないのでそっとしておいて欲しいというのが本音でもある。

 

・儲けた人はいる?

 これだけ人が押し寄せるので屋台は大儲けだろうと下衆な意見もあるが、狭い神社なので出店は制限されていた。儲かったのはランチ時における駅周辺の飲食店くらいなものだろう。なにしろ娯楽のない小さな街だからねぇ。

 あとは駐車場整理の警備のおじさんかな。たぶん想定外のパート期間延長になってる。

 

・業務に支障

 そういえば駅の改札に「田無神社への案内図」という印刷物が途中から置かれるようになっていた。駅員の業務に支障が出ていたことが窺える。

 

・珍事

 神社への参拝者大訪問で前代未聞の出来事があった。それはお守りの売り切れ。あってはならないことだ。絶対欲しいアイテムだけに、遠方からの参拝者にとってこれほどのショックはないと思う。同情する。この点は神社側も見通しが甘かったのではないか! 12年後の大きな課題だ。

 

  

有り得ない売り切れ告知…

 

<番組による違い>

 田無は昨年71日にテレビ東京の『アド街ック天国』でも紹介されたことがある。「練馬のお隣」という屈辱的なキャッチを付けられて。話題のスポットと言いながら田無神社は3位にされていたが、今みたいなパニックは起こらなかった。扱い方が違うとこうも差が出るものかと唖然。

 何はともあれ全国区のゴールデンは凄い。私も昔『バラ色の珍生』に一般人として出たことがあるが、放映2か月後の福井県の山奥にある小さな公園にいた時、「テレビに出てましたよね?」と知らない人から声を掛けられたことがあった。それ以降2回も! ゴールデンの番組は怖いとつくづく思ったものである。

 

<一部の地元民だけが知る事実>

・貴重な体験

 一般人は拝殿には入れるが、本殿には滅多に入れない。私は知人に誘われて一度だけ入ったことがあるが、中のエネルギーは半端なかった。一歩足を踏み入れた途端空気がまるで違うのだ。ここに神様がいるんだなという高次元のエネルギーを直に感じた。Oリングを試したところびくともしなかった。

 

・見られない金龍神の事実

 番組では「扉の奥に金龍神がいる。だが誰もその姿を見たことがない。宮司さんも見たことがない」とのことだった。

 おかしいなぁ~。以前説明を受けた時は、少し離れた意外な場所にあると聞いたのだが。そこに人が押し寄せてパニックになるといけないので、番組では誤魔化したのかな? それとも辰年だけ本殿に戻されているのか? まぁ、深く追求するのはやめておこう。きっと大人の事情があるのだろう。

 

<確信したこと>

 今回の出来事を間近で見て確信したことがある。日本人は本当に縁起や開運や占いが好きなんだなと。普段神社に行かない人でも正月には明治神宮に殺到する。それと同じようなものか。誰もが幸せになりたく、ご利益を授かりたく、わざわざ東京都下の小さな神社にまで足を運ぶのだから。日本人の神社好き、パワスポ好きは半端ない!

 ひょっとしたら半分以上がミーハーな人かもしれないが、そんな人でも感性のある人にはご利益があるだろう。それほどに田無神社の五龍神パワーは凄いということだ。

 

<いつまで続く?>

 31日は、今年初めてすべての龍神をゆっくり参拝することができた。やっと落ち着いたと思ったが、翌2日の土曜日からはまたまた混雑状態に。地元民の困惑は続く…。

 

[編集後記]

本当に小さな神社なんだよ。