今ではしっかり世間に浸透している10分1000円で髪をカットしてくれるクイック美容室。女性と違って、男性で髪に気を使う人は少ないので、料金もかからないしお手軽って感じだ。しかし、安いには安いなりの理由がある。当初は雑な所が多かった。分かりきっていることではあるが…。
流行り始めたころに、友人が初めて入ったところ、かなり乱暴に扱われたそうだ。普通、髪を切る時は美容師が左右前後に動くのだが、そこでは、お客の頭を自分の方向にグイッグイッと回しながら切っていったという。自分が動かないことで時間の節約をしているのだろうか。
しかも友人は家に帰って鏡を見て気づいたことがあった。サイドに禿ができていたのだ。
「もう二度と行かない!」と憤慨していた。
このことを一般の美容室へ取材に行った際、ついでで女性美容師に話をしたところ…
「私も一回手伝いに行ったことがあるんですよ。でも、10分でやるなんて絶対無理。いくらカットだけとはいえ、まともにはできません。雑になるのは当たり前です。お客様のためを思い、あるいは自分の出来栄えを満足するためにやっている美容師なら雑にはできませんよ。だから私も一回だけでやめました」
…とのことだった。やはり安いにはそれなりの訳がある。だいたい1000円払って禿を作られたのでは堪ったもんじゃない。
近所の85歳の爺様はほとんど髪がないのに毎月1000円カットに行っている。切るところがないから3分もかからないと思う。こういう客だと店側としても互いの利益が噛み合ってちょうどいいかも。
その爺様、1000円カットができる前は普通の床屋に行っていた。理容師は切るところがなくて早く終わるたびに、爺様から「4000円も払ってるのに手抜きか!」と文句を言われて困っていたらしい。こりゃクレーマーと同じくらいタチが悪い…。
その後、1000円カットの店をリサーチしてみたのだが、やはり髪型は皆雑だった。ただ、友人のように乱暴には扱われていなかった。普通に美容師が左右に動いていたしね。たまたま友人の担当になった美容師が外道だったのだろう。禿を作るくらいだから…。
[編集後記]
仲間の女性ライターにもこの話をしたところ、やはり小学生の息子が同じように雑にやられたと憤慨していた。今は改善されているかもしれないが、身近で2例もあったということから、クイック作業に慣れていない当初は本当に酷い所が多かったのだろう。