人の体は、使う部分をきちんと使わないと退化する。このことは多くの人が知っている常識だ。そのなかでも、性器部分の退化は癒着という症状になって現れる。
以前、友人の息子が小さい時、ちんちんの先がただれて泌尿器科に診てもらうことになった。まだ、子供なので当然真性包茎だ。しかし、治療のためにその先っぽを剥いていったのだが、途中で剥けなくなってしまった。
なんと、皮の一部が本体に癒着していたからだ。このままでは大人になっても綺麗に剥けることはない。そこで、父親は医師と相談の上その場で切り離すことを決断した。
ただでさえ強制的に剥かれて痛がっている息子を、両親と看護師で押さえつけ、医師は癒着していた箇所にメスを入れていった。息子の悲痛な鳴き声が病院中に響き渡ったという…。
私の周囲に仮性は多いし、真性の奴もたまにはいたが、癒着経験のある奴なんて一人もいなかった。しかし、言わないだけで実際はどこかにいるんだろうね。
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完全な癒着ではないが、大人の女性にもそれは有り得る。特にセックスレスの熟年女性にだ。以前、アラフォー女性のセックスライフを取材した時に、雑談で次のような話を聞いた。
その女性はバツイチになってから10年間、仕事と育児に追われて一度もセックスをすることがなかった。しかし、その後再婚の機会に恵まれ10年後にセカンドバージンを迎えることができた。
セカンドバージンという言葉は格好つけではなく、本当に痛かったという意味だ。新しい夫の性器は、前夫に比べて小さかったという。それでも痛くて、最初の夜などは、3分の1の挿入で断念…。その後、何回かやるうちに快感を得られるようになったのだが、最初のうちは喘ぎ声など出るはずもなく、ずっと痛みに耐えて唇を噛み締めていたということだ。
彼女はその時に、“女性器は使わないと中が癒着する”と実感したそうである。医学的に見れば癒着というわけではないのだろうが、彼女がそういう結論に達したのは別のある出来事も起因している。
彼女は再婚する前に、10年ぶりに子宮検診を受けた。男の私には分からないが、何やら器具を入れるらしい。その時、前回は全く痛くなかったのに、10年後の検診では奥まで入れると凄く痛かったという。そのことも踏まえて、女性器は使わないと中が癒着すると彼女は言うのである。
深海魚の目ではないが、生物は使わない部分は退化する。男女とも下半身は使うべき時に使わねば!…ということか。
後日談。
友人の息子だが、切られた直後は父親を恨んだらしい。確かにあんな激痛は幼い子供には酷だ。しかし、思春期になった今は、ほとんどが仮性で占められている仲間内で、一番綺麗な形に剥けているということで、皆から羨ましがられているという。温泉に入っても隠すことがないそうだ。
私も一度見せてもらったが、確かに綺麗な形で、岩下の新生姜みたいな見事な色をしていた。これがやがて使い古されて黒くなるのかと思うと、いつまでも童貞でいてくれと願うほどだった。
また、10年ぶりに検診を受けた彼女だが、婦人科医から子宮内部が綺麗だと言われたそうである。何がどう綺麗なのか、私はもちろんのこと、言われた本人にも分からないらしいが…。
巷では「使わないと蜘蛛の巣が張る」などと女性の下半身を揶揄する言葉があるが、実際に癒着はするみたいだ。誰かこの事実を学術的に発表してくれないだろうか。
[編集後記]
それにしても未だに気になるのは、“綺麗”というのは何を基準に“綺麗”と言っているのだろう? その秘密は産婦人科医にしか分からない。