松田優作の『探偵物語』テレビ版は何度観てもいい。当時はただストーリーを楽しんでいたが、今は別の視点で楽しむことができる。
第一話の『聖女が街にやって来た』を久々に観て思ったのは、面白さよりも時代風景の懐かしさだった。例えば…
1)携帯のない時代なので、街中では赤い公衆電話が使われている。
2)悪人がお揃いのトレンチコートを着ている。昭和中期の映画の流れを未だ引きずっているのかと思って笑えた。今やトレンチコートといえば、男よりもOLの必需品となっている。平成になってから、悪人のファッションがOLに引き継がれているとは…なんか変な感じ…。
3)街に手書きの看板が溢れている。今や小さなチラシでさえパソコンで作成している時代なのに。
4)工藤探偵事務所にはタイプライターが置いてある。そういえば、この後にワードプロセッサーが普及し始めたのを思い出した。最初に買ったのは、液晶画面が3行分しかないやつ。それでも当時は宝物だったなぁ。
5)ラジカセなど懐かしい家電がいろいろ出てくる。まるで昭和家電館にでも行ってるみたいだ。
6)道路の標識が今とは違う。知らないうちにデザインが変えられているものがあったんだと今さら気づいた。
7)当時の車はまだフェンダーミラー。私は今でもこっちの方がカッコイイと思っているのだが。
8)車内では誰もシートベルトをしていない。スクーターはノーヘルOK。運転しやすい良い時代だったなぁ。私は面倒臭いヘルメットが義務化されてから原チャリを卒業した。
9)パトカーの屋根にある細長い形の今の赤色灯と円柱式の回転灯が混在している。ちょうど移行の時期だったというのがよく分かる。
10)線路のシーンが映ると国鉄という文字が目につく。まだJRになっていなかったんだ。
11)映画館のシーンで『真田幸村の謀略』という看板が出ていた。なるほど、この時代に上映されていたのか。松方弘樹がカッコ良かった時代だ。その後、『元気が出るテレビ』からイメージが変わってしまったからなぁ。
12)ゲームセンターに入っていくと、どこもかしこも『スペースインベーダー』をやっている。確かにその頃に流行っていた。
13)ディスコシーンも懐かしかったなぁ。『クラブ』とは全然違う。『マハラジャ』とも違う。やはり、『アース・ウインド&ファイアー』や『ビージーズ』で溢れていた頃のディスコは最高だ。新宿コマ界隈の『ゼノン』や『ニューヨークニューヨーク』で、夜な夜な踊りまくった若かりし頃を思い出し、悩みのない人生を送っていた懐かしさに思わず涙がちょちょ切れた。
14)フォトアルバムがでかいし分厚い。デジタル時代の今では考えられない。
15)まだトルコ風呂の看板だった。ソープランドに改名されるのは、それから数年後のことだ。
16)若い頃の竹田かほりが実にいい。還暦を過ぎた今でもきっと美しいに違いない!…と願う。
当時の仲間内では工藤ちゃんに憧れる者が続出した。特にファッションを真似る奴らが多かった。次に多かったのがスクーター『ベスパPX』を買う奴ら。で、自分はというと、タバコにライターでつける時、炎を極限まで大きくすることを真似た。今して思うと超恥ずかしい。
第一話で、16もの懐かしさを味わえることができた。第二話もストーリーそっちのけで時代風景を観るとしよう。そもそもストーリーはリアル感ないしね。
アマゾンのプライムビデオで『電送人間』『美女と液体人間』『ガス人間第1号』という1958~1960年のSF映画を観てみたが、こちらの方は現代とのギャップがあまりにも激し過ぎて、そのメチャクチャ感でかなり笑える。
少しはテレビ神奈川を見習って欲しい。