変な会員さん | おっさんのブログ

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日々の出来事、思ったことをダラダラ書いています。

もう何年も前になるけど

以前通っていたジムでの話。

 

このバレンタインの時期になると

必ず思い出してしまう人物がいる。

 

お世辞にも男前ではないし

全てにおいてセンスもない。

顔もひどいし

服に至っては

お母さんが選んだようなものばかり。

悪い意味で普通のセンスはない。

でも自分ではイケメンと思い込んでるみたい。

 

そして、俺は彼と一度も会話をしたことがないのに

(名前すら知らない)

彼は俺のことを毛嫌いしていた。

(別にいいんだけどね)

 

彼の目的は

ジムで体を鍛えるとかではなく

明らかに出会いを求めてた。と思う。

彼女が欲しかったんだろうね。

手当たり次第女性に声をかける姿を

よく見かけた。

女性も社交辞令で愛想よく対応するけど

彼は「俺に好意がある」と勘違いするのか

そこからグイグイ行く。

(もちろん、次から無視されるようになる)

 

そんなある年のバレンタインデー当日。

俺がいつものようにジムへ行くと

彼は既に着替えて、ジム内をウロウロ。

マシーンを使うわけでもなく

スタジオを待つ順番を待つでもなく。

受付と女性ロッカーの前を何往復もしていた。

 

俺が着替えて外に出ると

女性用ロッカーの前にあるイスに

ヤツは座ってた。

もちろん、ドアが開いたくらいで

中で着替えている女性が見えるわけじゃないけど

暗黙の了解として、

男性会員はそのイスには座らないようにしてた。

疑われたくないからね。

でも彼はそこに座ってロッカーの方を向いていた。

出入りする女性をチェックするみたいに。

 

俺がランニングマシーンを利用していると

空いていた隣に女の子が利用しに来た。

女の子が走り始めて直ぐに彼はやってきて

その女性に声をかけた。

「今日何の日か知ってる?」

「こんな日にジムに来るなんてお互いさみしいねぇ」

と、ニヤニヤしながら話しかける。

彼女は歩いているのではなく、

かなりのスピードで走っていて

普通に考えれば話しかけるタイミングじゃない。

女の子は適当に相槌を打ったりしていたけど

ヤツは離れようとしない。

 

「あ、この後デートなんでしょう?」

「俺は別に義理でもいいからさ」

 

女の子の隣で走っていた俺は

思わず噴き出しそうになった。

なんでもらえることが前提で話してるんだ?

 

「あ、ちゃんとホワイトデーに返すからさ」

「明日朝早いんだけどさ、この後少しなら時間取れるよ」

彼女は何にも言っていないのに

一方的に話しかける。

 

10分もしないうちに女の子はマシーンを止め

彼には目も向けず(むしろ怒った表情で)

そのままロッカーへ行ってしまった。

「あんたになんか興味ないです」って

オーラを出しながら。

「さすがにヤツもマズイと思ったろうなぁ」

と思って彼を見たけど

彼は彼女の後を付いて行き、

再び女性ロッカー前のイスに座った。

あんな態度されても

「俺のチョコを取りに行ったんだ」

と思ったらしい。

でもその彼女は出てこなかった。

着替えてるのか帰り支度をしてるのか…

 

彼女をあきらめたのか

出てきた別の女性をつかまえると

同じように話し始めた。

「ねぇ、今日何の日か知ってる?」

 

俺はその日何本かスタジオにも入ったけど

ヤツはスタジオにも入らず、

ズーっとウロウロしていたし

順番待ちしてる女性に声をかけては

同じようなことを言ってた。

「こんな日にジムに来るなんて寂しいねぇ」

「俺明日6時起きなんだよなぁ」

「俺は別に義理でいいんだけどさ」

ついには…

「あげる人がいないなら俺がもらってあげるよ」

とか言った時には、俺でもひいた。

 

 

その日の最後のスタジオが終わり

お風呂に入ったりして俺がジムを出るころには

閉館前となって片付けが始まっていた。

それでもヤツは着替えもせず、

ウロウロしていた。

女性がヤツにチョコをあげてる光景は

その日は見ていない。

もらえたかどうかは不明…

朝早いって言ってたのに帰ろうともしないんだからね。

 

次の日…

スタジオを待つ列に並んでいると

俺の後ろに

隣のランニングマシーンを使ってた子が。

一緒に来ていた友達と何か話しながら待っていた。

すると…ヤツが彼女に近づいてきた。

友達と話をしているのを全く気にせず

「ゴメン。昨日は入れ違いだったみたいだね」

「別に俺は今日でもいいからさ」

「じゃ、よろしく!」

と言って最後列に並んだ。

女の子はポカーンとしていたし

友達は「何アレ?」て彼女に聞いてた。

そして…「ゴメン」と友達に言って

列を離れロッカーへ。

(そのまま着替えて帰ったと思う)

それからしばらくは、

その女の子の姿を見なくなった。

 

ヤツの勘違いした行動や言動は

他にも沢山あるのだけど…

それはまたの機会に。

 

結局彼は…女性からの苦情もあり

強制退会させられたらしい。

(当然だろうな)

 

その数年後には

俺も濡れ衣を着せられて

半ば強制的に退会させられたけどね。

 

チョコが欲しいのか

彼女が欲しいのかわからんけど

俺は…さすがにそこまではしないけどね。