3年ほど前に初めて出逢った時からなにか気になるオトコでした(笑)

都美人(みやこびじん)を醸す都美人酒造は兵庫県南あわじ市に在ります。僕も今回訪ねたのが二回目でしたが、神戸(舞子)から世界最長の吊り橋である明石海峡大橋を淡路島に渡り、さらに南下した徳島に近い位置にあるのどかな風景の町です。特産地として有名な玉ねぎや、キャベツ・レタスなどの栽培も盛んな温暖な印象(冬は寒いが雪は降らない)の町です。

都美人酒造は昭和20年に国策で10社が統合して出来たという経緯もあり、とにかく広い(本当に広い!)敷地と大きな設備を誇り最盛期には17000石を醸していました(現在は約700石)。前社長(現会長)時代に老杜氏の引退に伴い「品質を見直し、若き杜氏と共に成長していく」ことを目的に、平成19年醸造年度より山内杜氏を迎え入れたそうです。
実は山内杜氏、あの農口杜氏(菊姫・常きげん)のもとで酒造りを学んでいた「弟子」に当たる人物で、都美人酒造がもともと山廃を基礎とした造りをしてきた蔵だったことと農口杜氏の推薦もあり、あわじ市へやってきました(出身は京都です)。ただ、大きな蔵で小さな造りをする難しさは想像以上であり、特に最初はかなり大変だったようです。その中で現社長の深い理解もあり、24年度には「小さな造りをより丁寧にするため」の山内杜氏自身による設計の設備投資も完了し、「量より質」に向けた都美人の新しい歴史が動き始めました。
今年38歳の山内邦弘杜氏、能登杜氏としてのその山廃造りの力量はもちろんのことですが、よりよい酒造りを求め続けるその姿勢に感銘を受けました。能登流の造りを伝承し、流行りの酒質ではなく昔ながらのじっくり飲める酒を目指し、使う酵母も7号・9号・14号を基本としています。しかし誤解してはならないのは「旧態然にしがみつく」のではなく「伝統を大切にしながら進化を目指す」ことを実践しているオトコであること。この27BYで都美人での9期目の造りを迎えますが、彼の創意工夫満載の24BYで導入した設備を駆使し、これからどんな酒を僕らに届けてくれるのか、楽しみでなりません。
都内では既に三伊井上酒店さん(早稲田)、味のマチダヤさん(中野)、籠屋秋元商店さん(狛江)などの有力酒販店さんが手掛けられている中で遅れての取り扱い開始となりますが、先達たちの足を引っ張らないよう、大切に販売させていただきます(お近くの方はこだまではなくそちらでもお買い求めください!)。こだまでは山内杜氏の(こだまの考える)本質となる「山廃火入れ熟成」を柱に、彼の魅力を伝えていきたいと考えています。派手さのない、いい意味で地味(滋味)でしみじみ旨い都美人。売れ筋の酒質ではないかも知れませんが(笑)これからの季節に常温からお燗で、秋冬の肴とじっくり味わっていただくとその良さが伝わると思います。地酒屋こだまの新しい仲間を、どうぞよろしくお願いします!




