ばたばたしてたらうっかり8月になってました。

土曜日は四季酒の会にて廃業された和久井酒造さんを囲む会を開催、

99%の笑顔と1%の涙で素敵なひとときを過ごしました。


その様子はまたあらためて報告するとして現時点で一言だけ。


・・・・・開催してよかった・・・・・ありがたいことです。





さて、8月1日(金)に蕨・チョウゲン坊 で行われた

蔵元交流会「文佳人の会」にお邪魔してきました。



まずはチョウゲン坊のイケメン店長、竹口さんのご挨拶。

小さくても頑張っている蔵元を世に出そうと必死の毎日を過ごす彼、

言葉の端々にその熱い想いが溢れています。



そして文佳人の社長&杜氏の有澤浩輔さんからご挨拶。



ここでちょっと文佳人を紹介しておきましょう。


高知県は香美市の土佐山田町に位置する株式会社アリサワ

創業は明治10年というから比較的新しい蔵元と言えるでしょう。


造りの総石高は約800石だがそのほとんどがパック酒で

特定名称酒(本醸造以上の高級酒)はなんと50石程度だそう。

蔵人2名に冬季のみ2名の手伝い、計4名で醸すには限界があり

設備も含め今後はその辺が課題と考えていらっしゃいました。


全国新酒鑑評会ではH12~15年まで金賞受賞(14のみ入賞)という

とんでもない実力を持った蔵、そして杜氏でもあります。

基本的には全てのお酒を無濾過原酒で発売するこだわりも持っています。



では、当日のお酒を紹介します。





なんじゃ?このラベル? ・・・と思った方も多いと思います。

パノラマ撮影できないので(笑)3角度からの写真を繋げてみます。




なんとも斬新なラベル、これ実は「宇宙酒」といいます。

きのこの山でお馴染みのフィギュアイラストレーターの方が

有澤杜氏の奥様と同級生ということで実現したそうで

良くも悪くも日本酒には見えない非常に楽しいデザインです。



ところで宇宙酒とはそもそも何でしょう?


2005年にロシアのソユーズに高知県産の酵母を搭載して

8日間宇宙で培養したのち、地球へ帰還しました。

これを高知18蔵で使ってお酒を醸し、「宇宙酒」と名づけたのが発端です。


しかし宇宙酒と名づけるにはいろいろ細かい決まりがあるようです。


1.この宇宙から帰還した酵母を使う(単独もしくは混合でも可)

2.高知県酒造好適米「吟の夢」か「風鳴子」を100%使用する

3.精米歩合55%以上の純米吟醸酒に限定する

4.土佐宇宙酒審査会の官能審査に合格したもの


宇宙で酵母がどのように変化するかを云々するのは遠慮しますが(笑)

県全体で夢とロマン溢れる取り組みをしていることは素晴らしいこと。

普段日本酒に縁のない人たちが手にしてくれることに大きく期待します。


ちなみに味の方はこれがビックリするほど非常に真っ当なお酒。

それもそのはず、吟の夢を50%精米した純米吟醸ですから。

イソアミル系の吟醸香に包まれて甘いコクもしっかりしています。

ラベルだけではなく中身の伴ったなかなかいいお酒です、お試しあれ。





さて、お次も純米吟醸・・・これも吟の夢を使ったお酒です。

精米歩合も宇宙酒と同じ50%、ただひとつ違うのは酵母だそうです。


うーん、これもしっかり味が出ていて美味しい♪

こっちはちょいとバナナン風味♪で違いを楽しめます。

使っている酵母も聞いたけど企業秘密もあるのでここには書かない(笑)





そしてこれが八反錦を50%精米した、幻の純米吟醸。

(ちなみに今回の出品酒でこれが唯一18BY、他は今年のお酒です)

何が幻なのかって言うと、今年は八反錦使ってないからなんです。


実は杜氏、八反錦を使うのはこれが初めてだったそう。

そして使った結果「とても難しい米だ」と痛感なさったそうです。

んで、あまりにも大変なので今年は止めたとお笑いになってました(笑)


味はしっかり出ていて僕には好ましく感じました。いいお酒だと思います。

蔵では低温貯蔵を徹底しているので、まったく老ねや熟成感もありません。

八反錦にしてはスリムで少しキレイという感想が周りからは聞こえました。





これが愛媛の松山三井を50%精米した吟醸です。

愛媛の蔵元が醸す松山三井とは方向性がだいぶ違います。

香りも含み香もしっかりと出ていて非常に呑みやすく美味しい。

松山三井独特の土臭さというかどっしりしたコクはありませんが

これはこれで非常に美味い吟醸に仕上がっています。





総勢20人程度の会でしたので和気藹々と進んでいきます。

ちなみに杜氏の席の周りは人気席になっていました(笑)





さて、これがなかなか面白かったお酒。

純米吟醸で「リズール」という変わった名前が付いています。

ラベルにもありますが「リズール」とは精読者の意。

文学を深く味わう読書人になぞらえての命名・・・本当に風流な蔵です。


味わいの妨げになるということでリズールのデータは非公開です。


これもイソアミル系の吟醸香と含み香があって爽やかメロンな酒質。

他酒では感じなかった独特の酸味が爽やかさに拍車をかけています。

そしてなんだろう・・・・・最後のキレが鋭くて、けっこう辛口に感じます。


杜氏曰く、呑み続けて舌が疲れた時に呑むとこれがいいんです、と。

私自身が酒呑みなもので気がつくとずっと呑み続けてしまいますが(笑)

・・・なんて笑顔で仰っていました。


実はこのお酒だけ少しだけ加水してアルコール度を1度下げているそう。

夏のリゾート地で海を見ながら茹でたての枝豆とお気に入りの本を片手に

このリズールを呑んだらさぞかし美味かろう、と思いました(笑)





そしてこれが今夜の最後のお酒。

岡山県産のアケボノを55%精米した純米酒です。


・・・・・すみませーん!これ、純米酒じゃありませーん!


って言いたくなるくらい純米「吟醸」していました(笑)

いや、いわゆるどっしり系純米を期待して買うとコケます。

メローンな吟醸香漂う、うわこれ美味い!系純米酒です。


ただ誤解しないでくださいね。

派手なだけでなく「しっかり美味い」純米酒です。

その証拠に、燗でも美味かったし燗冷ましはさらに良かったです。





特に後半は、杜氏を占領(笑)していろいろなお話をさせていただきました。

歳が近く(杜氏が僕の二つ下)気安いということもあり

またこんな僕を相手に熱心にお話を聞いてくださる凄く謙虚な方でしたので

ついつい調子に乗ってご意見などもさせていただいた夜でした。


これは僕自身の感じ方なので鵜呑みにしていただきたくないのですが

どのお酒も美味い、しかし酵母の特徴が少し前に出すぎに感じるのです。

米の特徴もしっかり感じるのです。要するにバランスが、なのです。


しつこいようですがこれは「僕の好み」の話です。

機会があれば是非ともご自身の舌で味わってみてください。

お奨めできるいい酒であることは間違いないと思います。


もちろん酵母の特徴を出すのも大変なことで個性にもなってはいます。

こういったタイプが好きな方も多いし、特に初心者には好まれそうです。




蔵元が持参した仕込水を飲みながらの穏やかな会でした。



最後に記念撮影をお願いしました。



若いけれど勢いのあるお酒を造っている有澤杜氏。


「僕が酒呑みだから自分が美味いと思う酒しか醸せないんですよ。

 だからついつい初心者向けじゃない酒ばかり造ってしまう。

 これじゃいかんなと思っていろいろと考えて造ってます・・・・・」


こんな言葉を笑いながら仰る飾らない有澤杜氏、

初対面でしたが、会の終わりにはすっかりファンになっていました。


ありがとうございました。これから応援させていただきます。