前回記事の而今サミット から一夜明け、


・・・・・そう、文字通り一夜明け、


早朝5時にカラオケボックスを出た私達(と書いてアホと読むw)は

とりあえずタクシーで予約していたホテルに急行した。

他の連中のことは知らんw とにかく泥のように眠った。





・・・・・そして。





・・・・・そして。







起きたら集合時間だった(爆







・・・・・ヒトとして終了である。



暑い夏の最中、このまま出るわけにもいかず速攻シャワーを浴び、

僅か5時間半の滞在でアパホテル谷町4丁目をあとにする。

仲間には先に行ってもらい、一人朦朧としながら電車を乗り継ぎ、

天王寺(あべの橋)からやっとこさ近鉄急行に乗り込んだ。


・・・・・が、何かがおかしい。






・・・・・う。






・・・・・う。





二日酔いである(爆





・・・・・やはりヒトとして終了である。



水を飲みながら「早く治れ治れ治れ」と祈り続けていると尺土着。

ここで乗り換えるのだが、電車を下りるとめちゃめちゃ暑い。

ホームのベンチでだらしなく死んでいると、2両編成の電車がやってきた。



御所、と書いて「ごせ」と読む。

この御所市こそが千代酒造さんのある、かの地なのである。

しかしまぁ2両編成とはなかなかいい風情だ。

後で聞いたら「本線の特急」も時には2両で走るそうだ(笑)


そしてまもなく御所駅に着いた。

終着駅は始発駅、という僕の敬愛する宮脇俊三先生の書があるが

この駅はまさにそのものの風情を持っている。



いいなぁ~~~この侘び寂びのある感じ。




なーんてゆっくりしている場合ではないのであるw




予想通り風情のある駅前にそれでも数台待っていたタクシーに乗り込む。

時計を見れば約束していた12時ちょうど。おお、意外と早いぞ。


日本酒はほとんど呑まず焼酎ばかりというタクシーの運ちゃん。

千代酒造、篠峯、という僕に「ああ、たぶんアソコだな」と緩い返事。

そして遠くに蔵が見えてきて、おお、ここかここかと思ってると車が停まる。


運「はい、着きましたよ~~~」

はーい、と言いかけて蔵の看板を見ると





葛城酒造・・・・・さん?(はぃ?




た「運転手さん、葛城さんじゃなくて千代酒造さんなんだけど?(焦」

運「ええっ?ここじゃなかったか?そらすまんかった。千代?千代?」

た「そう、千代酒造さん。篠峯とか、えーと、櫛羅とか造っ・・・」

運「あー!あー!櫛羅かぁ!わかったわかったそら悪かったぁ!」

た「・・・・・・・」


人の良い運転手さんでした。

そこでメーターをストップして急いで向かってくれました。

ちなみにめちゃめちゃ行き過ぎでした(笑)

しかも僕が急いでるの知らないから近くの観光名所を教えてくれたり

しまいには町内の六地蔵とかわざわざ案内してくれたりしました(笑)


その辺から僕ももう急ぐ気持ちが薄れてしまい、

なんだか急に「ああ、奈良に来てるんだなぁ」というゆったり感いっぱい。

680円の距離に1,470円支払ってリラックスを手に入れた、そんな感じ。


そして12時20分、ようやく千代酒造さんに到着!!!



千代酒造株式会社HP 

もう何年も更新してないので、と恐縮なさっていました(笑)




玄関にはいくつもの杉玉が下がっています。



僕が入ったら先着の5人は堺専務からお話を伺っている最中でした。

何はともあれ、やっと合流できました。ああ、ホントにごめんなさい。


堺専務とは4/25蔵元交流会 で初めてお会いしてからのご縁で

まさかこんなに早く訪れることができるなんて思ってませんでした。

まずは蔵の中を案内して頂いたのでその様子から簡単にご紹介します。


なお、造りのシーズンには堺専務が杜氏として活躍されています。

紛らわしいといけないので今回は堺専務に統一して進めていきます。





精米機です。かなり以前から自家精米をしていたようです。

糠は自動的に4種類に振り分けられるシステムなんですね。





わかりづらいですが、2階にある洗米場です。

効率よくしかも丁寧に米を洗う工夫がされています。

井戸水のため温度が高いのが悩み、とのこと。





ちなみにこれは大吟醸用などに使う洗米機。(MJP方式)

サイクロンな泡水流で糠や汚れを優しく落とすスグレモノ。

3人がかりで10Kgを洗えるからとても楽だ、と仰ってました。





ここで米が蒸されます。

このタイプは初めて見ました。(他はみんな埋め込まれていたw)


昔、大量生産していた頃は自動蒸米機もあったそうですが

それは今は処分してこれですべて蒸しあげているそうです。





蔵の心臓部ともいえる場所、麹室。


正直言うと、話だけではどう使うのか完全には理解できない麹室でした。

西日本に多い構造、と仰ってましたがよく考えたら西の蔵は初めて(笑)

そうそう、そういえば東の蔵には珍しい「製氷機」も蔵に置いてありました。





これ、仕込み蔵ですね。グレーの3本はサーマルタンクです。

やはりこのサイズのタンクが一番多かったです。





こっちは搾り(ヤブタ)と基本的には貯蔵用タンク用スペース。

槽はなく、ヤブタと袋吊りだけで搾っています。





これは蔵全体に冷房をかけて大きな貯蔵庫として使ってる蔵。

これなら「安定した状態」のまま貯蔵ができます。

あと2~3年分貯蔵もできるなぁ、とは堺専務の弁。




ところで千代酒造さんでは委託栽培や自家栽培などで

最近は特に地元奈良産の米にも力を入れていらっしゃいます。

そこで蔵の外も案内していただきました。





左手に見える建物が仕込み蔵の一部です。

手前のコンクリートブロックの中に井戸があるそうです。

もう一箇所がメインで10mほど、こちらは100m以上掘ったそうです。

どちらにしても水脈が豊富で、水に困るということは無さそうです。

濾過もしているが鉄分はほぼゼロで理想的な酒造用水とのことでした。



そしてこの背中に広がっているのが・・・・・





千代酒造さんが自ら栽培する山田錦の田んぼです。

全部で8町歩くらいあるそうです。





ちょっとセンス悪い繋ぎ方だけど(笑)こんな感じです。

この左手、なだらかに山の裾野が見えていますが

この先にはこの付近一番の名峰「葛城山」と「金剛山」が繋がり、

冬は降ろしてくる風のおかげで冷え込みそうな土地に見えます。




ところで田んぼの中に変わった生き物がたくさんいました。



わかります?最初はおたまじゃくしだとばかり思っていたのです。

でも、よーく見るとなんか違う。もっとまるまる太っているのです。


これならもっとよくわかるかな?




なんだかうじゃうじゃと動いているんです。

よーく見るとカブトガニみたいな形をしていてなんかヘン(笑)


帰って調べてみました。「カブトエビ」っていうらしい。


気がつくと田んぼで育っていて脱皮を繰り返し、

一ヶ月くらいで死んじゃう前に田んぼの土の中に卵を産むらしい。

乾燥に強い卵で翌年田んぼに水が張られると孵化してまたうようよ(笑)


なんだか変わった生態だけど、田んぼの害虫を食うので益虫らしい。

まさに田んぼのために生きているような生物、不思議な世界です。

カブトエビが生きていられる農薬使用量にする努力をしている、と

そういえば堺専務も仰っていました。




自然の営みに触れるとお酒もまた美味しくなるもの。

さて、お待ちかねの試飲タイムがやってまいりました(笑)

・・・・・え?二日酔い?・・・・・なんのことでしたっけ?(爆



今回は山田錦でいろいろなパターン、

それから一種類だけ愛山をきかせていただきました。





あらまつのshigeちゃんはじめ、みんな酒を愛する者ばかり。

時に真剣に、時に楽しくお酒について語り合いました。

それをひとつひとつ丁寧に受け答えくださる堺専務の笑顔が印象的でした。


しかし、より印象的だったのは「その酒に対する自分の意図」が見えること。

あーだこーだと説明する訳ではないのにその熱が伝わってくる。

ああ、この酒は確かに堺「杜氏」が造った酒なのだ、と思いを深くしました。


個人的には7号酵母を使った火入れ前の生酒、

それから9号だっけ?プラス11でうまく味を出した一火入れの酒、

この2種類がこの先の可能性という意味で気になりました。

(7号生酒は19日の四季酒の会に出す予定でいます)


あとはやっぱり1,800mlで2,100円の純米酒。

あれは「安くて美味い酒、ここに在り」という意味で手放しで評価したい。

冷やでも常温でも面白いし、燗でゆっくり呑むのにはきっと凄くいいなぁ。





さて、結局3時間近くお邪魔してしまった酒好きな我ら。

最後の最後まで厚かましく(笑)記念写真を撮ってお別れです。



だからたけさん、馴れ馴れしいってのwww



堺専務が醸す約450石の篠峯・櫛羅(くじら)、

これからみなさんの手元でどんな表情を見せていくのでしょう。

第一印象だけでなく、じっくり付き合ってもらいたいお酒です。